2005 Fiscal Year Annual Research Report
フィールドサイエンスとしての農学と文化としての農業に関する方法論と実践の比較研究
Project/Area Number |
15380151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
末原 達郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (00179102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
重田 真義 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (80215962)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
杉村 和彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)
岩崎 正弥 愛知大学, 経済学部, 助教授 (40221791)
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Keywords | フィールドサイエンス / 比較農学研究 / 都市農業 / 結い / モラル・エコノミー / ソーシャル・キャピタル / 食育 / 地域おこし |
Research Abstract |
本年度は、研究成果のとりまとめとして、 (1)フィールドサイエンスとしての農学についての方法論と実践の研究については、積極的に国際学会での報告を行なった。特に、フランスでおこなわれたPEKEA国際学会では、フィールドワークの方法論に基づいた比較農学研究の成果を、3人の研究代表者・分担者が行なった。末原は、日本における結いの変遷と復活した結いの現代的役割を、池上は日本のフェアートレード運動における有機農業運動との連携を、杉村はモラル・エコノミーの比較研究を行なった。これらはいずれもフィールドサイエンスとしての農学の新たな方法論に基づいたものであり、それを日本から世界へ発信する試みを行なった。 (2)文化としての農業に関する方法論と実践の比較研究に関しては、末原が京都における都市農業の研究を比較農学的に行ない、平安京から現代における日本の中枢都市が、農業と農地をその内部に含みこんでおり、西欧世界や中国世界にある城壁が存在しない都市構造が、都市内部における農業の可能性をもたらしたことを明らかにした。また、都市生活者の文化が農業生産の文化と深く結びつき継続してきたことを明らかにした。廣岡は、日本の和牛の雌牛の発育に関する昭和初期から現代に至るまでの変遷を明らかにした。岩崎は、現代山村経済と過疎の問題を、地域社会の中で具体的に明らかにするとともに、山間地における地域力(ソーシャル・キャピタル)としての文化と農業との関係を明らかにした。池上は、教育における食と農の結びつきを再考し、食育教育と文化としての農業の結びつきを明らかにした。重田は、環境と生活と地域社会におけるローカルな実践との関係を明らかにした。 (3)最後に、研究と実践に関しては、杉村が、福井県越前市において、地域おこしを農業と文化再興の視点から実践しており、研究との結びつきを継続的に試みている。
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Research Products
(12 results)