Research Abstract |
本年度は,以下の3点について研究を進めた。 1.岡山県高梁市有漢町を対象とし,高齢化・人口減少により,量的・質的に大きく低下する労働力資源への対策として,農村地域内に居住している非農家労働力の有効活用方策について検討した。時給500円〜1000円の賃金を支払えば,相当程度の非農家労働力利用が可能となり,耕作放棄防止に有効であること,さらに,地域内農業振興が可能となり,農家・非農家を含めた地域内所得水準向上も可能になることを明確にした。 2.実態調査をもとに,中山間地域での肉用子牛生産を含む営農モデル,および集落営農モデルを構築し,農林地の放牧利用の展開による集落全体の農林地管理労務,農業所得,温暖化影響の変化を試算した。その結果,低米価による稲作収益低下傾向の中で,放牧利用が耕作放棄地の解消,農用地管理の省力化,農業所得の増加,温暖化抑制のすべての点において,稲作営農よりも優位であることを明らかにした。 3.大規模化する畜産経営の経営展開には,限られた経営資源の集中と選択が不可欠であり,事業部門の外部化が求められる。具体的には,事業の外部化として,コントラクターの利用が挙げられる。本年度は,大分県の稲わらを集草し,畜産経営に販売するコントラクターの情報を収集し,コントラクターの組織・事業・経営について,現状と課題について整序を行った。また,コントラクターを利用する畜産経営の経営実態についても情報を収集し,コントラクターの存在が,家畜飼養に専念できる等の経済効果につながっていることを明らかにした。
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