2005 Fiscal Year Annual Research Report
温室効果ガス発生と水環境汚染の低減に向けた家畜ふん尿還元管理システムの開発
Project/Area Number |
15380160
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 助教授 (60311544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 潔 岩手大学, 農学部, 教授 (70091642)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
阿部 芳彦 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (00005472)
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Keywords | 家畜ふん尿 / 牧草地 / 黒ボク土 / 亜酸化窒素ガス / 硝酸態窒素 / アンモニア態窒素 / 密閉式チャンバー法 / 選択的採取法 |
Research Abstract |
搾乳牛のふん尿を還元している黒ボク土が主体のリードカナリーグラス牧草地における亜酸化窒素(N_2O)ガス発生を測定した。密閉式チャンバー法と気象学的測定法の一つである選択的採取法を使って、ふん尿散布後の草地におけるN_2Oガスフラックスを測定した。散布した尿の主成分はアンモニア態窒素(NH_4-N)であった。尿散布の翌日に数mmの降雨があり、10mg/m^2/h程度のN_2Oガスフラックスが発生た。この時期に地下水中にはNH_4-Nはほとんど検出されなかったが、NO_3-Nは0.1〜0.2mmol/L程度検出された。この時期のN_2OガスはNH_4イオンが酸化されて硝酸化成される過程で発生したと考えられる。尿散布後5〜6日目に40mm程度の降雨があり、その直後に約34mg/m^2/hの大きなN_2Oガスフラックスを観測した。この時期には地下水中の硝酸態窒素(NO_3-N)濃度が0.1mmol/Lから2.5mmol/Lまで上昇した。降雨直後にN_2Oガスフラックスが上昇し、地下水中のNO_3-N濃度も上昇していることから、N_2Oガスは主にNO_3イオンが還元されて脱窒される際に生成されたと考えられる。家畜ふん尿還元牧草地におけるN_2Oガスの発生には、NH_4-Nの硝化過程とNO3-Nの脱窒過程の両方からの寄与が考えられる。密閉式チャンバー法と選択的採取法で測定したN_2Oガスフラックスは、極めて良く一致した。従って、選択的採取法を使うことによって比較的安価なガス濃度測定器を利用して経時的にガスフラックスを測定可能となった。また、2次元土壌中における水分・溶質・熱の完全連結移動を予測するためのコンピュータシミュレーションプログラムが完成した。今後、N_2Oガス発生モデルと組み合わせることで、圃場規模での土壌中におけるNO_3イオンの移動の予測が可能となり、環境に低負荷な家畜ふん尿還元管理が可能になると期待される。
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Research Products
(2 results)