Research Abstract |
本研究は,移植苗の弱光照射低温貯蔵法の実用化に向けた,最適な光環境制御法の開発を目的としている。そのために次の2つを行う。(1)光強度の制御に関するものとして,貯蔵開始時においてCO_2交換速度が0となる照射光強度(貯蔵開始時光補償点)を自動的に策定し,かつ貯蔵中も苗のCO_2交換速度が0となるように照射光強度を自動制御するシステムを開発する。(2)光質の制御に関するものとして,赤色光への青色光混合効果の検証を行い,照射光強度自動制御システムに採用するLEDアレイの設計および制御法の策定のための基礎的知見を得る。 本年度は,まず(2)について,トマト接ぎ木セル成型苗の赤・青色LED弱光照射低温貯蔵(気温10℃,PPFD 2.0μmol m^<-2> s^<-1>)における青色光PPFD比率の影響を調べた。貯蔵35日目における調査・測定項目は,外観品質評価値,葉面積,地上部乾物重,茎長,葉数,地下部乾物重および草姿であり,移植後栽培28日目では,地上部乾物重,地下部乾物重,移植後栽培初期の乾物重増加,葉数,花蕾数,茎長,第1花房着生節位および花房数であった。青色光PPFD比率の影響あるいは比率増加に伴う一定の傾向が明確に認められた調査・測定項目は少数であった。総合的に判断して,本実験で設定した青色光PPFD比率(0,2,5,10および50%)の中で,トマト接ぎ木セル成型苗の赤・青色LED弱光照射低温貯蔵に最も有効であったのは50%であり,それに準じる比率は10%であった。 上記の試験と平行して,(1)について,貯蔵ケース内(貯蔵ケースからの流出空気)CO_2濃度を一定値に維持することで,貯蔵期間中の苗のCO_2交換速度を0とする照射光強度自動制御システムのハードウエアを製作し,試運転を行った。上記の試験結果に基づき,LEDアレイは青色光比率を50%まで高めることができるように製作した。現在,自動制御システムのPID制御パラメータの調整を進めている。
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