2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜の水透過性及び細胞壁の表面性状と農産物の品質低下メカニズムに関する研究
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15380170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大下 誠一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00115693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 義雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (70376565)
川越 義則 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80234053)
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Keywords | 拡散水透過係数 / 水分損失 / ホウレンソウ / プロトン緩和時間 / 水交換時間 |
Research Abstract |
葉菜類の品質を決定する重要な要因の一つである水分損失は、細胞膜の水透過性に深く関係して、生じると考えられる。このため、収穫後のホウレンソウ細胞膜の水透過性の指標である水交換時間λ_a及び拡散水透過係数P_dを求めた。P_dの測定には、Conlon and Outhred (1972)が開発したNMR法を用いた。これは、細胞膜内外に浸透圧差が無い場合に観察される、膜にコントロールされた拡散プロセスの指標である。 試料は築地市場の仲卸業者から購入したホウレンソウ(購入日前日に収穫)を用いた。2℃(リヴィエラ:栃木県産)と20℃(ニストラル:埼玉県産)で貯蔵し、貯蔵1,3,6日後に第3葉及び第4葉の主脈を除いた葉部からプロトプラストを作成した。プロトプラスト懸濁液の平均密度は1×10^7/mlに調整し、約100μlの懸濁液を外形5mmのNMR試料管に注入し、これを3本用意して測定に供した。このサンプルについてT_1をSaturation Recovery法により25℃で測定した。 この結果、1日貯蔵のホウレンソウの水交換時間は、貯蔵1,3,6日後で、それぞれ47.2ms,50.7ms,65.5ms(2℃貯蔵、測定は25℃)および31.3ms,21.2ms,20.5ms(20℃貯蔵、測定は25℃)となり、貯蔵時間の経過と共に水交換時間が短くなることが確認された。 一方、昨年度取得した2℃貯蔵における水交換時間は、1日貯蔵の場合74.3ms及び68.3msであり、6日貯蔵したものは、56.3ms及び54.4msであった。 λに前年度の結果との違いが生じたため、P_dも異なり、昨年度取得した値の2〜3倍大きな値となった。貯蔵時間の経過と共にλが短くなり、P_dが増大する傾向は同じであったが、前年度との値そのものの違いについては、品種や栽培地が異なることに由来するものかどうか検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)