2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境変動への葉緑体の応答の多光子レーザ走査蛍光顕微鏡による4次元観察
Project/Area Number |
15380171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔵田 憲次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90161736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 敬子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50332599)
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Keywords | 多光子レーザ走査蛍光顕微鏡 / 植物 / 蛍光プローブ / 葉緑体 / SNARF-4 / 自家蛍光 / pH |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、環境変動時(主に光環境変動時)の細胞内変化を可視化することである。いままでの蛍光顕微鏡や共焦点レーザ走査顕微鏡では、観察時に生理作用(主に光合成)を持つ可視光の照射が必要であったため、一種の破壊的観察(観察行為そのものが観察対象の状態を変えてしまうこと)といえる。本研究の着想は、生理作用の比較的少ない赤外域放射の照射による観察が可能な多光子レーザ走査蛍光顕微鏡によって、主に葉緑体の環境変動への応答を観察することである。 昨年度は、ホウレンソウ葉肉細胞のプロトプラストを対象にpH変動の観察を行い、そのなかで、葉緑体の自家蛍光を観察された蛍光から差し引くという手法を適用した。本年度は、来年度の本格観察に向けて観察技術の改良を主眼にした。そのため、自家蛍光の問題を回避できるホウレンソウ実生の根を観察対象とし、引き続きpH変動の観察を目標とした。観察対象をプロトプラストから組織に変えることで、来年度行う予定のin vivoでの組織観察の手法を検討した。その結果、組織観察では組織の深部までにプローブを導入する必要があるが、低温導入法により導入が可能であることがわかった。また、3Dないし4Dの観察では、観察中に対象が移動すると解析が困難となる。対象をプロトプラストから組織に変え、さらにアクリル樹脂で作成した自作チャンバーでマウントを行うことで観察対象の移動は抑えられた。さらに、使用するpH感受性プローブの再検討を行い、SNARF-1よりも酸性側に広いレンジで観察が可能なSNARF-4が適していることがわかった。また、SNARF-4によるpH観察のin vivoキャリブレーション法を確立した。
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Research Products
(1 results)