Research Abstract |
食に対する「安全・安心」への関心が高まり,生産現場では,これまで以上に青果物の検査・評価方法の充実が急がれることから,果実全体を面で計測できるように画像を利用した品質評価・検査に着目し,分光画像を用いた非破壊による青果物の品質検査システムの研究に取り組んだ. 近赤外領域(650〜1100nm)の分光画像(近赤外分光画像)を用いたトマト(桃太郎)の糖度予測では、高感度冷却CCDカメラに可変液晶フィルターを取り付け,650〜1100nmの範囲を10nm間隔に連続的に分光画像の取得を行い,各ピクセルの輝度値を吸光度二次微分値へ変換した後,糖度(Brix値)と相関の高い1〜5波長を選択(変数増減法)し,検量線を作成した.各着色度における平均吸光度二次微分値と糖度の実測値との単相関係数を求めた結果,1-4分着色で750nm,5-6分着色で730nm,10分着色で820nmの分光波長においては糖度と高い負の相関を得た.統計解析ソフトウェア(SPSS10.0)を用いて5波長まで自動選択した結果,上記の分光波長が第一波長として選択された.5波長による着色度毎の予測結果は,1-4分着色果でR=0.899,SEC=0.133,5-6分着色果でR=0.974,SEC=0.092,10分着色果でR=0.939,SEC=0.094,と高い精度が得られた.近赤外分光画像法から非破壊によるトマトの糖度予測の可能性を示唆できた. 次に近赤外分光法による温州ミカンの糖度予測では,ファイバープローブの計測距離は果実から3mm離した位置での非接触型による測定,測定ポイントはファイバープローブを赤道部に設置した半透過光型,照射光量は照射穴径15mmの測定条件が最も良好な糖度予測ができた.またイチゴでは,イチゴ果皮の着色を分光測色計により測定し,その分光反射強度(可視光域400〜700nm)から糖度予測を行った.その結果,各熟度とも,620nmの単波長において糖度と強い相関を示した.また,選択波長が増えるに従って,予測精度は高くなった.3波長を選択した場合,0〜4分着色で0.727,5〜8分着色で0.772,9〜10分着色で0.647の相関係数値を得た.
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