Research Abstract |
わが国では,食の安全・安心・高品質化への関心が高く,生産現場では,品質評価・検査体制の整備が重要となっている。青果物の選果施設では,これまでの外部品質(形,大きさ,色,傷等)に加え,内部品質(糖度,酸度等)の評価・検査の充実が急がれている。そこで,分光画像処理法の複合的検査システムを構築するために,VIS、NIR領域の液晶可変フィルターと昨年度購入した冷却CCDカメラを用いて、分光画像による品質検査法を提案し、高精度な品質・鮮度評価に関する研究をした。その結果,特にイチゴ果実の糖度・硬度については以下のような知見を得た. 1.分光反射強度からのイチゴ果実の糖度予測の試み イチゴ果皮色の分光反射強度から糖度予測を試みた.イチゴは宮崎市木花産のハウスイチゴ(章姫)を用いた.果実表面の3点における可視光域の分光反射強度(400nm〜700nmを10nm間隔)を計測した.測定点の果実表層(厚さ3〜4mm)の果汁を絞って糖度を計測した.これらの計測データから重回帰分析を行い,相関の高い5波長までを選択(変数増減法)し,波長ごとの検量線を作成し評価した.未熟から完熟の果実による計測例で,5波長(556,450,528,458,618nm)による予測結果は,SEC=0.56,SEP=0.60,Bias=0.26であった. 2.分光画像からのイチゴ果実の硬度予測の試み イチゴ果実の分光画像から硬度予測を試みた.イチゴは宮崎市木花産のハウスイチゴ(章姫)の未熟から完熟(0〜10分着色)果実を計225個供試した.分光画像は液晶可変フィルターを用いて取得した.測定範囲は450nm〜650nmを2nm間隔とした.画像処理はプログラム(MATLAB)でノイズおよび背景除去の補正を行い,平均輝度値を求めた.硬度は卓上型試験機でイチゴ中央部を測定した.これらの計測データから,重回帰分析(変数増減法)を行い,相関の高い波長を5波長(528,500,462,544,534nm)選び,この5波長による検量線を作成した.予測結果,SEC=0.76,SEP=0.71,Bias=-0.07であった.
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