2005 Fiscal Year Annual Research Report
熟成過程および消化管内において食肉タンパク質より生成する生理活性ペプチド
Project/Area Number |
15380187
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有原 圭三 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00175994)
|
Keywords | 食肉 / タンパク質 / 熟成 / プロテアーゼ / 生理活性ペプチド / 抗酸化活性 / 保健的機能性 / プレバイオティクス |
Research Abstract |
本研究は、食肉を熟成させる過程(主に牛肉)あるいは食肉製品を製造する際の発酵・熟成・貯蔵過程(主に豚肉)において、食肉タンパク質が筋肉や微生物由来のプロテアーゼの作用を受けて分解することにより生成するペプチドの有する生理的な機能に注目したものである。また、ヒトが食肉を摂取した場合に、食肉タンパク質が消化管内で分解される過程において、生理活性ペプチドが生成する可能性についても検討を加えた。昨年度、同定した食肉タンパク質の分解により生成する新規の抗酸化ペプチドの中で、特に強い活性を示したAsp-Leu-Tyr-Alaの作用メカニズムを検討したところ、4種の構成アミノ酸(Asp, Leu, Tyr, Ala)混合物では抗疲労効果や筋肉内脂質酸化抑制などのin vivoの生理活性がまったく発現しなかったことから、ペプチド構造が重要な意味をもつことが明らかにされた。Asp-Leu-Tyr-Alaをin vitro消化試験に供した結果、消化酵素の作用により、Leu-Tyr-Alaが生成し、このペプチドはAsp-Leu-Tyr-Alaと同様の作用を示した。したがって、このペプチドあるいは未分解の食肉タンパク質を摂取した場合、生体内ではLeu-Tyr-Alaの形で作用することが示唆された。一方、食肉タンパク質分解物から発見されたペプチドGlu-Leu-Metは、食品タンパク質分解物から初めて見出されたビフィズス菌増殖促進ペプチドであった。このペプチドは消化酵素に対する抵抗性が強く、摂取により消化管内におけるビフィズス菌の増殖に寄与することが期待される。さらに、牛肉の熟成中や食肉製品(生ハム等)の熟成・貯蔵中において生成する抗酸化ペプチドや血圧降下ペプチドについての検討を続けた結果、数種の新規ペプチドを同定するに至っている。得られた一連の成果は、食肉の有する潜在的な保健的機能の解明につながるものであると共に、食肉を主原料とする新たな機能性食品の開発に発展させることができるものと考えている。
|
Research Products
(4 results)