2003 Fiscal Year Annual Research Report
子牛における消化管からのプリオン蛋白質の吸収機構の解明
Project/Area Number |
15380189
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 嘉昭 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50302196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩野 顕彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80156249)
加藤 和雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60091831)
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Keywords | 牛海綿状脳症<BSE> / 異常プリオン蛋白質 / Horseradish Peroxidase / ホルスタイン雄仔ウシ / M細胞 / 回腸 / 消化管の発達 / 離乳 |
Research Abstract |
牛海面状脳症(BSE)の原因物質は異常プリオン蛋白質であると考えられる。異常プリオン蛋白質は経口的に摂取され、腸管粘膜から侵入し感染すると考えられるが、詳細な機構は分かっていない。本研究の目的は、1)異常プリオン蛋白質は、消化管のどの部位から吸収され、その吸収に消化管の発達がどう影響するのか? 2)高分子取り込み能からBSEなどの様々の疾患に関与すると思われるパイエル板を覆うドーム上皮に存在するM細胞は、消化管機能の発達によりどう変化するのか?を観察することである。 1)2〜4週齢(離乳前)および13週齢時(離乳後)のホルスタイン種雄仔ウシを屠殺し、十二指腸、空腸、回腸近位部、回腸遠位部および結腸を摘出し、反転腸管法によってウシの腸管各部位におけるHorseradish Peroxidase(HRP)吸収能を観察した。HRPは腸管におけるプロテアーゼによって分解されないなど異常プリオン蛋白質の代替物質となり得る。仔ウシでは、離乳前後ともに、12指腸、空腸および回腸近位部HRP輸送量が結腸よりも有意に高い値を示した。離乳前後で比較すると、全ての部位に置いてHRP輸送量は、13週齢の離乳後で高い値を示した。 2)2および13週齢のホルスタイン種雄仔ウシを屠殺後、回腸パイエル板を採取し免疫化学染色と走査電子顕微鏡により形態学的解析を行い、M細胞の形態学的な特徴とその性状を明らかにした。ウシ回腸ドーム上皮では、第一胃の機能の発達に伴い、M細胞の増加と機能化が起こるものと考えられる。また、ドーム上皮のM細胞は、ドーム上皮に移動するに連れて機能化し、高分子取り込み能が行進することが示唆された。 以上の結果から、異常プリオン蛋白質の吸収能は、離乳後に回腸を中心とした小腸部位で著しく増加することが推測される。今後は、13週齢以降の回腸の機能に注目して研究を進めていきたい。
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