2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラクトフェリンによる新生子牛の免疫及び代謝内分泌機能の向上
Project/Area Number |
15380197
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
櫛引 史郎 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 室長 (30355218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 文彰 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 主任研究官
小原 嘉明 東北大学, 大学院・農学研究科・動物生理化学研究室, 教授 (50302196)
新宮 博行 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター・畜産草地部, 主任研究官 (40355219)
小松 篤志 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養部, 研究員 (90360453)
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Keywords | ラクトフェリン / 牛 / 急性期反応 / 栄養生理代謝 / サイトカイン |
Research Abstract |
新生子牛は、消化機能は単胃から反芻胃へ、免疫機能は受動免疫から能動免疫へと大きく変化する。この時期は生体の抵抗性も低下することから、下痢や肺炎等の感染症が発生しやすく、発育遅延や損耗率の増加を招く。本研究の目的は、新生子牛にラクトフェリン(Lf)を給与し、エンドトキシン(Et)感作による急性期反応におけるLfの抗炎症作用を解析することである。今年度は、Et誘導急性期反応におけるリポタンパク質代謝、血漿レチノールおよび鉄濃度の変動に対するLfの効果について検討した。10日齢のホルスタイン種雄子牛15頭を用い、大腸菌O55由来のEt50ng/kgを頚静脈から投与した。子牛は3区に分割し、牛Lf200、400mg/kgをEt投与の12及び24時間前に哺乳用の牛乳に混和して摂取させた。対照区にはLfの給与は行わなかった。Et投与後96時間目まで経時的に血液を採取し、血漿中のリポタンパク質分画を分離し、各分画中の脂質成分を分析した。リポタンパク質の分画は卓上型超遠心機を用い、超低密度分画(VLDL)、低密度分画(LDL)、高密度分画(HDL)を分離した。レチノール濃度は逆相HPLC、鉄濃度は酵素法で定量した。対照区における各リポタンパク質分画中の脂質濃度を合計した総脂質濃度は、Et投与前に比べて投与後は徐々に低下する傾向を示した。Lf給与区の総脂質濃度はEt投与後もほぼ投与前と同じレベルで推移した。対照区のVLPL濃度は、エンドトキシン投与前に比べて投与後24時間目に上昇したが、以降は大きく減少した。Lf給与区のVLDL濃度は24時間目に対照区を上回るレベルで増加し、その後は減少したが、投与前レベルを下回る傾向は見られなかった。また、Lf給与によりEt投与後に対照区で見られたレチノールおよび鉄濃度の減少が抑制された。これらの結果は、Lfの抗炎症作用が脂質代謝および鉄動態に影響を及ぼしたものと推察される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 櫛引史郎: "牛の代謝・内分泌機能に及ぼす腫瘍壊死因子の影響に関する研究"栄養生理研究会報. 48・1(印刷中). (2004)
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[Publications] Hiroyuki Shingu: Journal of Dairy Science. 87・3(in press). (2004)
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[Publications] Tokushi Komatsu: "Gene expression of resistin in adipose tissue and mammary gland of lactating and non-lactating cows"Journal of Endocrinology. 178・3. R1-R5 (2003)