2003 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂異常原因遺伝子の単離と遺伝子導入による生殖細胞形質転換手法の開発
Project/Area Number |
15380204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
野口 純子 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝資源研究グループ, 主任研究官 (80189381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国枝 哲夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80178011)
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Keywords | 精子形成 / 減数分裂 / Fkbp6 / シナプトネマ構造 / 染色体対合 |
Research Abstract |
精子形成における減数分裂制御機構の解明の一環として、減数分裂前期で精子形成が停止するミュータントラット(系統名:TTラット、原因遺伝子:as)について、原因遺伝子の特定と機能解明を行った。 1.asホモ雄は減数分裂前期パキテン期で精子形成が停止し無精子症を発症する。ヘテロ雄およびホモ雌は正常である。as3ホモ精巣では、パキテン期精母細胞の細胞質にヘマトキシリン陽性の封入体様構造物が出現する特徴がある。連鎖解析の結果、as遺伝子座はラット第12染色体上の2.2Mbの領域に存在することが判明した。 2.免疫抑制剤結合蛋白質遺伝子Fkbp6欠損マウスにも精子形成異常が見られ、その所見はasホモ精巣と良く一致したことから、TTラットではFkbp6の発現に異常がある可能性が示唆された。そこで、TTラット正常精巣および異常精巣におけるこの遺伝子のmRNA発現および蛋白質の発現を検索した。その結果、異常精巣では正常と異なる分子量のmRNAの発現があり、蛋白質の発現は検出できなかった。TTラット異常個体のゲノムDNAを解析し、Fkbp6のエクソン8を含む領域の欠損を確認した。Fkbp6は前述の2.2Mbの領域に位置していることから、asはFkbp6の変異遺伝子であり、TTラットの精子形成異常はFKBP6の欠損によるものであると考えられた。 3.FKBP6は減数分裂で相同染色体の対合を支持するシナプトネマ構造の構成因子であり、この遺伝子の欠損は染色体の対合異常を引き起こすことをマウスで確認した。更に、XおよびY染色体の対合とX染色体の不活化に機能している可能性が示唆された。これらの所見から、asホモ精巣ではFKBP6の欠損により厚糸期精母細胞で起きる相同染色体の対合に異常が発生し、その結果、減数分裂が停止するため精子が形成されないものと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Crackower MA et al.: "Essential role of Fkbp6 in Male Fertility and Homologous Chromosome Pairing in Meiosis."Science. 300. 1291-1295 (2003)
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[Publications] 野口 純子: "遺伝的組換え機構解明に貢献する実験動物モデル"J.Animal Genetics. 31. 13-19 (2003)
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[Publications] 野口 純子: "遺伝的組換えに重要なシナプトネマ構造の形成に関わる因子"化学と生物. 42. 6-8 (2004)