2003 Fiscal Year Annual Research Report
テニア科条虫終宿主の確定診断法の開発と都市圏におけるエキノコックス感染環の調査
Project/Area Number |
15380205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野中 成晃 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (50281853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 祐三郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (60133716)
神谷 正男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30081665)
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Keywords | エキノコックス / 多包条虫 / 終宿主 / 診断 / テニア / 動物疫学 / DNA / 虫卵 |
Research Abstract |
エキノコックスを含むテニア科条虫は主に食肉類を終宿主とするが,糞便検査において虫卵の形態から種を同定することは困難である。我々は,糞便内抗原および虫卵の検出によりエキノコックスの終宿主診断を行っているが,その補足診断法として,虫卵DNAの利用によるテニア科条虫種の同定法を検討した。エキノコックス属3種およびテニア属7種,合計39系統および分離株の虫体を用いてCO I領域の塩基配列を決定した。得られた配列とすでに報告されている各種テニア科条虫種の配列とを比較解析して,多包条虫特異プライマーE.mSP1-A&Bを構築した。70℃12時間加熱した多包条虫卵を用いてPCRを行ったところ、虫卵1個分のDNAテンプレートで増幅像が確認できた。また,適当な制限酵素を用いたCOI領域のPCR-RFLPにより,猫条虫(Eag I, Xho I),胞状条虫(SexA I),肥頭条虫(Sfc I),豆状条虫(Nsi I),羊条虫(Msl I)および多包条虫以外の包条虫3種(EcoR I, Hph I)が同定できる可能性が示された。 これと平行して,都市近郊でのエキノコックスの動物疫学を分析するため,札幌市北東部およびその周辺におけるエキノコックス媒介動物の生息状況および感染状況を調査した。キツネの営巣地の特定,キツネの捕獲・剖検,営巣地周辺でのキツネの糞便採集および野ネズミの捕獲・剖検を行った結果,キツネの営巣地6ヵ所の内5ヵ所からエキノコックスに感染していたキツネ(キツネ18頭中6頭)または糞便内抗原および虫卵陽性糞便が見つかった。野ネズミの調査ではエキノコックスに感染していた個体は見つからなかったが,好適な中間宿主であるエゾヤチネズミがキツネ営巣地周辺で生息していることがわかり,都市近郊でもエキノコックスの生活環が維持され,調査地にエキノコックスが定着していることが示唆された。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 神谷正男: "媒介動物の個体数が多い感染症[2]エキノコックス症"薬の知識. 55・3. 13-16 (2004)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックス症"畜産の研究. 58・1. 161-166 (2004)
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[Publications] Konno, K.: "Prevention of alveolar echinococcosis-ecosystem and risk management perspectives in Japan"Acta Tropica. 89・1. 33-40 (2003)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックス症 現状と対策"感染症と化学療法. 7・1. 1-4 (2003)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックス(多包条虫)症 現状と対策"臨床医. 29・10. 1824-1827 (2003)
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[Publications] 神谷正男: "わが国のエキノコックス症とその対策"感染症. 33・4. 1-12 (2003)
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[Publications] 土井睦雄: "北海道および海外からの畜犬を介するエキノコックス本州侵入の可能性"日本公衆衛生雑誌. 50・7. 639-648 (2003)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックス症"臨床と微生物. 30・4. 401-406 (2003)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックス"総合臨床. 52・増刊. 345-350 (2003)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックス症"化学療法の領域. 19・1. 64-69 (2003)
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[Publications] Nonaka, N.: "Technology Innovation and Its Relations to Humanities and Social Sciences"Hokkaido University Press. 157 (2003)
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[Publications] Oku, Y.: "Progress of Medical Parasitology in Japan, vol8"Meguro Parasitological Museum. 683 (2003)