2003 Fiscal Year Annual Research Report
猫免疫不全ウイルス感染症の分子病態制御によるエイズ治療法の開発
Project/Area Number |
15380209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 晃 財団法人日本生物科学研究所, 研究部, プロジェクトリーダー(研究職) (70193745)
増田 健一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40313077)
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
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Keywords | ネコ / ネコ免疫不全ウイルス / 感染症 / 治療 / small interfering RNA / 樹状細胞 |
Research Abstract |
ネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染症に対する特異的な新規治療法の臨床応用をめざすと同時に、その系をヒトAIDSの治療モデルとして利用することを最終目的として研究を行った。今年度は、hairpin small interfering RNA (shRNA)および樹状細胞(dendritic cell, DC)を用いた新規治療法の開発に関する研究を進めた。 (1)shRNAを用いたFIV遺伝子発現阻害による新規治療法の開発:shRNAはループ構造を有するRNAであり、優れた遺伝子発現抑制能が示すことが知られている。FIV特異的shRNAを発現するプラスミドをFIV持続感染ネコ線維芽細胞株に導入したところ、FIV mRNA・タンパクの発現および逆転写酵素活性の恒常的な低下が認められた。このことから、抗FIV shRNA発現プラスミドをFIV感受性細胞に導入することによりFIV遺伝子の発現を特異的かつ持続的に抑制可能であることが示され、RNA干渉作用を応用した抗エイズ療法の開発に有用な知見が得られた。 (2)DCを用いた抗FIV免疫誘導による新規治療法の開発:DCは抗原をprocessingし、naive T細胞に作用を及ぼす唯一の抗原提示細胞である。本年度においては、健常ネコおよびFIV感染ネコの末梢血単球をIL-4およびGM-CSF存在下で培養し、in vitroでのDCへの分化を試みた。これら細胞は、サイトカイン添加条件下で樹状突起を有するようになり、CD1a、CD1c、CD18、CD80、MHC class II、CXCR4、IL-2 receptorを発現し、明らかな貪食能およびmixed lymphocyte reactionを示した。以上の結果から、DCの分化誘導およびその性状解析に成功したものと考えられる。来年度は、CTLを誘導できるDCを分化させる方法を確立していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mizuno, T., Goto, Y., Baba, K., Masuda, K., Ohno, K., Tsujimoto, H.: "Molecular cloning of feline tumor necrosis factor receptor type I (TNFR I) and expression of TNFR I and TNFR II in lymphoid cells in cats."Eur.J.Immunogenetics. 30. 107-113 (2003)
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[Publications] Mizuno, T., Goto, Y., Baba, K., Momoi, Y., Endo, Y., Nishimura, K., Masuda, K., Ohno, K., Tsujimoto, H.: "Quantification analysis of Fas and Fas ligand mRNAs in feline T lymphoid cell lines after infection with feline immunodeficiency virus and primary peripheral blood mononuclear cells obtained from cats infected with the virus."Vet.Immunol.Imunopathol.. 93. 117-123 (2003)