2004 Fiscal Year Annual Research Report
牛ウイルス性下痢症ウイルス感染牛の呈する非典型的臨床症状と病原因子との関連性
Project/Area Number |
15380212
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田島 誉士 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90202168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 謙爾 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (80214162)
迫田 義博 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (40333637)
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Keywords | 牛ウイルス性下痢ウイルス / 病態 / BVDV / ウイルス遺伝子 / 遺伝子亜型 |
Research Abstract |
自然発生の牛ウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)持続感染牛(PI)の臨床症状と分離されたウイルスの遺伝子亜型との関係を調べた。発育不良および肺炎などの症状の発現頻度が高かったが、感染ウイルスの遺伝子亜型との関連性は認められなかった。少数であるが、運動障害を主徴とする中枢神経異常の症状が認められ、病理解剖によって大脳に肉眼病変が認められたPIが摘発された。このPIから分離された1c亜型に属するBVDVとその病態との関連性を検索した。 組織学的検索によって、1c亜型特異的な脳内局在は確認できていないが、1cは他の亜型のBVDVよりも高率に脳内で確認された。定性PCRでは、BVDV遺伝子型に関係なく各臓器からウイルス遺伝子が検出されたが、ウイルス量が不明であるため、定量PCRによって各臓器局在のウイルス量の違いを検索中である。 また、PIで高率に認められる発育不良とBVDV感染との関係を検討した。発育不良PIから分離されたBVDVの遺伝子型に特異性は認められなかった。すなわち、外見上ほぼ正常なPIと著しい発育不良のPIとからは同一遺伝子型のBVDVが多数検出された。PIの甲状腺を免疫組織化学的に観察したところ、発育不良PIの甲状腺に高率にBVDVが局在している証拠は得られていない。しかしながら、発育不良PIで高率に甲状腺の低形成が認められた。これまでの本研究における検討では、BVDVPIで認められる発育不良は、ウイルスの直接作用による甲状腺機能の障害というよりも、本感染症による糖尿病発症機序と同様、宿主の免疫異常を誘導することによる二次的障害の可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)