2004 Fiscal Year Annual Research Report
先天異常子牛の疫学と遺伝学的、形態学的、ウイルス学的解析
Project/Area Number |
15380216
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
濱名 克巳 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30011977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 俊一 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90233949)
村上 隆之 宮崎大学, 農学部, 教授 (00040981)
津田 知幸 動物衛生研究所, 九州支所, 室長 (70355212)
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Keywords | 牛の先天異常 / アイノウイルス感染症 / アカバネウイルス / アルボウイルス感染症 / 心奇形 / 卵円孔の早期閉鎖 / クローディン16欠損症 |
Research Abstract |
牛の先天異常についての総説がなされ、特に飼養農家と獣医師に与える大きな影響が指摘された。 アイノウイルス感染が先天異常子牛をもたらすことは、十分予測されていたが、胎盤通過性が低いために、その再現試験はいずれも失敗していた。そこで5頭の妊娠中期の牛の子宮内の胎子に、特殊な手技を用いて、直接ウイルスを接種したところ、その後の妊娠は正常に維持された。しかし、予定日より早く、1頭の虚弱子と4頭の死産子が娩出され、いずれもアイノウイルス感染症の特徴である、関節彎曲症、水無脳症、小脳形成不全を示した。このことから、長年にわたって疑われていたアイノウイルスと先天異常との関係が見事に証明された。 アカバネウイルスによって生じた血清中の抗体価の測定法として、従来から用いられている中和抗体価測定法に代わって、新規に開発されたC-ELISA法が、迅速で特異性の高い方法であることが証明された。 多くのアルボウイルスを一度に検出できる方法として、1試験管mRT-PCR法が開発された。この方法では、同時に、チュウザン、イバラキ、ブルータング、アカバネ、ピートンの5種のウイルスの高い精度の検出が可能であり、アイノウイルスの検出率はやや低かった。このmRT-PCR法は、野外の多数の検体中のアルボウイルスのサーベイランスに、特異性が高く迅速な診断法として有用となる。 黒毛和種とF1種の2例の子牛に、卵円孔の早期閉鎖が認められた。前者には左房室弁閉鎖が合併し、左心室は小さな心筋塊であった。後者には心室中隔欠損と両大血管右室起始が合併し、左心室の低形成は認められなかった。 牛の常染色体性遺伝性疾患である、クローディン16欠損症は、尿細管の形成不全や組織の線維化を生じて、腎機能低下をもたらす。鹿児島県に発生した6例について、詳細な臨床的および病理組織学的検索がなされた。
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Research Products
(6 results)