2005 Fiscal Year Annual Research Report
先天異常子牛の疫学と遺伝学的、形態学的、ウイルス学的解析
Project/Area Number |
15380216
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
濱名 克巳 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30011977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 俊一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90233949)
村上 隆之 宮崎大学, 農学部, 教授 (00040981)
津田 知幸 動物衛生研究所, 九州支所, 室長 (70355212)
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Keywords | 牛の先天異常 / 疫学調査 / アカバネウイルス / 心奇形 / 房室中隔欠損 / 部分肺静脈結合異常 |
Research Abstract |
2003年7月から2005年6月までの2年間に、鹿児島県内各地から133例の先天異常子牛が収集された。病理解剖検査によって肉眼的な病変の認められなかった発育不良58例、虚弱26例を除いた49例について解析された。出生月は3月から5月にかけてが多く、性別ではやや雄が多く、産次数は5産が最も多く初産と2産が続いた。器官系統別では、骨格・関節系異常群が55%と最も多く、そのうち関節彎曲症の16%が目立ち、まれな異常として環椎後頭骨癒合、寄生肢、単眼症、一頭二顔体などがみられた。ついで中枢神経系が27%と多く、側脳室拡張症や髄膜瘤がみられた。他の異常はいずれも少数で、小眼球症、無眼球症、結腸閉鎖などのまれな異常も含まれた。この期間には、従来多発していたアルボウイルス性異常産の流行はなかったことが判明した。 宮崎大学で収集された牛の奇形心687例中に5例の房室中隔欠損が認められ、いずれも共通房室口を持つ完全型房室中隔欠損であった。また希有な部分肺静脈結合異常も1例認められた。 ウイルス学的研究では、アカバネウイルスの遺伝学的な解析がなされ、野外分離株における遺伝子再集合の可能性が示唆された。またこの手法を用いて、アカバネウイルスの分子疫学的解析も可能となった。 本研究の研究者が中心となって、「カラーアトラス 牛の先天異常」が出版された。本書には現在までに日本で認められているほぼすべての先天異常例が、鮮明なカラー写真とともに、詳細に解説されている。まず牛の先天異常の総説が記載され、ついで遺伝的な異常、ウイルス性の異常が続き、各器官系統別の異常が網羅されている。さらに海外を含めた牛の先天異常が一覧表にまとめられている。牛の先天異常に関するわが国初の図書であり、研究者、臨床獣医師、畜産関係者のバイブルとなることが期待されている。
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Research Products
(6 results)