Research Abstract |
植物を用いて重金属汚染土壌の浄化を効率的に行なうためには,集積植物の根圏機能の解析,根圏における「吸収可能な重金属量」の増大が重要である.同時に,周辺環境に影響を及ぼさないことも求められる.今年度の研究では,これらの課題に取り組むべく,金属集積植物の探索と生分解性キレート剤の利用に関する研究を行なった. 1.金属集積植物の探索 兵庫県生野鉱山跡地(金香瀬旧坑)周辺の自然林で土壌,植生調査を行なった.また,旧坑道入口付近の植物を任意に採取した.その結果,ヘビノネコザにCu, As, Cd, Pb,シシガシラにPb,ヒノキにPbとAs,アカマツにPbの集積性が認められた.また,スズシロソウは,Zn, Cdの超集積能力を有することが明らかとなった.今後,ヘビノネコザ,スズシロソウについて,As, Cdの超集積メカニズムの解明とその応用について研究を展開する. 2.生分解性キレート剤を利用した銅汚染土壌のファイトレメディエーション Cuを100mg kg^<-1>添加した畑土壌に,生分解性キレート剤S,S-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸(EDDS)を施用してカラシナを栽培し,銅吸収量,土壌中の銅の存在状態,土壌微生物群集の基質資化性への影響をEDTAの場合と比較した.その結果,(1)EDDS添加で,植物の銅吸収量は顕著に増加し,EDTAの場合と有意差は認められなかった.(2)土壌溶液中の全銅濃度は,EDDS区がEDTA区より有意に高く推移し,EDDS, EDDS-銅錯体の系外への溶脱の可能性は小さいと考えられた.(3)EDDSを施用した土壌のBiolog法によるAWCDの値は,EDTAの場合よりも高く推移し,土壌微生物群集への影響も小さいと推察された.今後,PLFA法も取り入れ,ファイトレメディエーションの場における根圏環境の総合的評価を試みる.
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