Research Abstract |
スズシロソウのZn, Cd集積機構を解明することを目的に,根および地上部におけるZn, Cd無毒化への低分子有機酸,フィトケラチン(PCn)等の関与について水耕試験で検討した.また,鉱山跡地周辺では,しばしばスズシロソウとヘビノネゴザによる同一群落形成が観察されるが,その意義を考察するためリゾボックス装置を用いた栽培試験を行ない,根圏におけるZn, Cdの動態を調査した.さらに,作物によるヒ素吸収抑制技術の発展に資するため,菌根共生がヒマワリのAs吸収と毒性発現に及ぼす影響について解析した.結果の概要は以下の通りである. 1.Zn処理濃度の上昇に伴い,スズシロソウ地上部で特にリンゴ酸含量の増大が確認された.Cd処理ではリンゴ酸含量の有意な増加は観察されなかった.一方,Cd処理濃度の上昇に伴って,根におけるγ-EC, PC2等のSH化合物含量が増大した.しかし,地上部およびZn処理区の根・地上部では,これらの顕著な増加は認められなかった.ZnとCdでスズシロソウによる無毒化機構が異なることが示唆された. 2.スズシロソウを単独で生育させた場合,根圏土壌中の水溶性Zn, Cdは根面に近いほど低下したのに対し,ヘビノネゴザ単独および両者を混植した場合には,根面に近いほど水溶性Zn, Cd含量が増加し,特にヘビノネゴザで顕著であった.ヘビノネゴザは,根圏でZn, Cdを可溶化する特異的なメカニズムを有すると推察された. 3.Glomus aggregatumを含む菌根菌資材を施用してAs汚染土壌にヒマワリを栽培したところ,化学肥料でPを供給した場合と比較して,As過剰症状,As吸収量が軽減され,菌根菌資材の有用性が示された. 以上の結果並びにこれまでに得られた知見を総合的に解析し,効率的なファイトレメディエーション技術ならびに有害金属吸収抑制技術の確立に向けて考察を行なった.
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