2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井原 正隆 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00006339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 昌裕 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教務職員 (10344681)
高須 清誠 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (10302168)
豊田 真弘 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (10217573)
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Keywords | 多連続反応 / ペリ環状反応 / 多環状化合物 / 生理活性化合物 / 極性反応 / ラジカル反応 / 遷移金属触媒反応 / 不斉合成 |
Research Abstract |
単一の反応で、連続的に原子間の結合を複数形成して多環状化合物を合成することを検討した。反応条件はペリ環状反応、極性反応、ラジカル反応、遷移金属触媒反応と有機化学反応を駆動するあらゆる反応形式を駆使してできる限り効率的な方法を確立し、これらを用いて生理活性な化合物の合成を行うことを目的とする。(4+2)型環化付加反応において1-アザジエンは反応性が低く、適当なジエンとして機能しないことが知られている。しかしながら1-アザジエンの分子内環化付加反応はアルカロイドなどの生理活性物質の合成法として極めて魅力的なアプローチである。検討結果、不飽和アミドをシリル化する反応条件下に多重結合との分子内ディールス・アルダー反応を進行させて多環状化合物を一挙に合成することに成功し、本反応を利用して薬理活性なマピシンおよびルオトニンAの全合成を行った。不飽和アミドと共役不飽和エステル基を併せもつ化合物について連続的に1,4-共役付加反応を行い、橋頭位に窒素原子を持つ多環状化合物の合成法を我々は報告している。本反応をさらに分子間反応に拡張することに成功し、これを用いて抗うつ薬として現在市販されているパロキセチンの簡易合成を行った。分子内での連続する1,4に引き続く1,2-付加反応をさらに分子間反応に展開し、触媒量のルイス酸によって収率良く進行することを証明できた。さらに本手法を発展させて、(4+2)および(2+2)型の環化を連続的に行って、4員環に縮環した多環状化合物の新規合成法を開発した。この、反応を利用して最近南米のサンゴから単離され細胞毒性を示すパエセレリンAの合成を検討した結果、提出構造の最初の全合成に成功し、このことによって提出構造の誤りを明らかにした。ラジカル反応によってビシクロ[3.2.1]オクタン体を収率良く合成し、これから分子内ディールス・アルダー反応を用いて誘導したカウレン酸メチルエステルが強い神経細胞保護作用を持つことを明らかにした。さらに、炭酸プロパルギルエステルをパラジウム触媒で処理することによって、スピロ融合した環状炭酸エステルを好収率で合成する反応を開発し、さらに不斉リガンドを用いることによって、高い不斉収率を持って反応が進行することを示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 井原 正隆他3名: "A Novel Methodology for the Synthesis of Cyclic Carbonates Based on the Palladium-Catalyzed Cascade Reaction of 4-Methoxycarbonyloxy-2-butyn-1-ols with Phenols, Involving a Novel Carbon Dioxide Elimination-Fixation Process"Journal of the American Chemical Society. 125・16. 4874-4881 (2003)
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[Publications] 井原 正隆他2名: "New Stereoselective Entry to Azaspirocyclic Nucleus of Halichlorine and Pinnaic Acids by Radical Translocation/Cyclization Reaction"Organic Letters. 5・17. 3017-3020 (2003)
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[Publications] 井原 正隆他2名: "Palladium-Catalyzed Enantiospecific Reaction of Propargylic Carbonates with Phenols : Cascade Chirality Transfer"Organic Letters. 5・18. 3325-3327 (2003)
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[Publications] 井原 正隆他2名: "A Direct Entry to Substituted Piperidinones from α,β-Unsaturated Amides by Means of Aza Double Michael Reaction"Tetrahedron Letters. 44・40. 7429-7432 (2003)
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[Publications] 井原 正隆他5名: "Parallel Synthesis of Antimalarial Rhodacyanine Dye by the Combination of Three Components in One Pot"Journal of Combinatorial Chemistry. 5・3. 211-214 (2003)
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[Publications] 井原 正隆他3名: "Catalytic(2+2)-Cycloaddition Reactions of Silyl Enol Ethers. A Convenient and Stereoselective Method for Cyclobutane Ring formation"The Journal of Organic Chemistry. 69・2. 517-521 (2004)
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[Publications] 井原 正隆他2名: "Rapid Assembly of Polycyclic Substances by a Multicomponent Cascade(4+2)-(2+2)Cycloadditions : Total Synthesis of the Proposed Structure of Paesslerin A"Journal of the American Chemical Society. 126・5. 1352-1353 (2004)
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[Publications] 井原 正隆: "生理活性多元素環状化合物の効率的合成法"化学工業. 7 (2004)