2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390006
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 敬 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30135032)
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Keywords | タンデム反応 / 不斉転写 / 不斉カルバニオン / 転移反応 / エナンチオ選択的反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は,不斉源として入手容易なエポキシドのキラリティを,塩基によるエポキシドの開環そして連続的かっ協奏的な転位反応を経てカルバニオンに転写させた後,キラリティを保持した状態で求電子剤との反応を行い得るような,全く新規なコンセプトに基づくエナンチオ選択的反応の開発である.昨年度の研究によって上記反応の反応機構が明らかになったので,本年度は,この結果に基づき不斉転写の可能性を検討し,以下のような結果が得られた. 1.エポキシシランのカルバニオンによる開環に続くBrook転位の機構は協奏的であることが,中間体の可能性のあるα-シリルアルコキシドを別経路で発生させる実験の結果から明らかになった. 2.協奏的に生成したシリケートからのBrook転位を経るアリルアニオンの生成は極めて速いことが,シスおよびトランスのエポキシシランの反応生成物の二重結合のgeometryが逆転していることからわかった. 3.δ-シリル-γ,δ-エポキシ-α,β不飽和アシルシランを3炭素単位,アルケニルメチルケトンのエノエートを4炭素単位として用いる[3+4]アニュレーションにおいて,19%eeでエポキシドのキラリティが七員環上の炭素原子が転写されることが判明した.さらに,ケトンをシクロアルケニルケトンにかえると52%まで不斉収率が向上した. 4.上記の[3+4]アニュレーションの結果から,ラセミ化を抑えるのに分子内反応によるアリルアニオンの捕捉が効果的であることが明らかになったので,Wittig転位をアニオンの捕捉に用いたところ格段に不斉収率が向上し,93%eeで対応する3級アルコール体が得られた.
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Research Products
(4 results)