2005 Fiscal Year Annual Research Report
置換クエン酸不斉合成法の開発と創薬リード天然物の合成
Project/Area Number |
15390008
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑山 範 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20143000)
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Keywords | 置換クエン酸天然物 / 不斉Bayis-Hillman反応 / 不斉向山アルドール反応 / トラキスプ酸 / 全合成 |
Research Abstract |
長鎖アルキル置換クエン酸天然物は、強力且つ特異的な酵素阻害活性を有し、医薬開発リードとして非常に大きな関心がもたれている。しかし、その共通単位である置換クエン酸構造の一般キラル合成法は未だ確立されておらず、4級不斉中心を含む高度に官能基化された置換クエン酸構造を高エナンチオ選択的に構築する方法論の開発は、有機合成化学ならびに創薬化学の観点から大きな意義をもつ。そこで、本年度も昨年度に引き続き、触媒的不斉Baylis-Hillman反応と不斉向山アルドール反応に基づく置換クエン酸構造構築法について検討した。その結果、触媒的不斉Baylis-Hillman反応に関しては、乾燥した触媒β-ICDを用いる新たな反応条件を見出し、収率、エナンチオ選択性共に改善できた。さらに、不斉触媒の検討も行い、キニーネからβ-ICDと相補的なエナンチオ選択性を発現する2種のアミン触媒の合成に成功した。また、ランタニド系Lewis酸を添加剤として用い種々検討したが、エナンチオ選択性が70%eeを超える条件を見いだすことはできなかった。一方、不斉向山アルドール反応に関しては、これまでと同様に、EvansのBOX銅触媒を用いる置換シリルケテンアセタールとの反応では好結果は得られなかった。しかし、新たに有機触媒を用いる不斉アルドール反応を検討した結果、この方法が置換クエン酸構造単位の構築に有用であることを見いだすことができた。今後、キラルLewis塩基触媒を用いる反応系についても詳細に検討する必要がある。さらに、置換クエン酸天然物の合成に関して、有機触媒を用いる不斉アルドール反応と野崎-檜山-岸反応に基づき、新たにトラキスプ酸の全合成を達成した。
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Research Products
(3 results)