2003 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化水素の生体内ダイナミック解析を目的とした蛍光プローブの戦略的開発
Project/Area Number |
15390012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 初男 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (00229311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 徳夫 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (60176352)
平田 收正 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30199062)
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Keywords | 蛍光プローブ / 活性酸素種 / 過酸化水素 / スーパーオキサイド / 可視化 / バイオイメージング / 緑藻 / 好中球 |
Research Abstract |
(I)過酸化水素(H_2O_2)蛍光プローブ fluorescein、2',7'-dichlorofluoresceinおよび2',7'-difluorofluoresceinのmono-O-pentafluorobenzene-Sulfonyl化体1a〜1cを合成した。これらの化合物は全てH_2O_2との反応により脱sulfonyl化反応を受け、各々対応する元のfluorescein類に変換された。つまり、1a〜1cはH_2O_2プローブとしての可能性を有することが明らかになった。そこで、それらのプローブ特性を明らかにするため、水溶液中における蛍光特性、H_2O_2による脱sulfonyl化反応の速度定数、H_2O_2に対する定量性および特異性、等を評価した。その結果、以下の知見を得た。(1)fluoresceinの量子収率に基づき求めた1a〜1cの相対量子収率は0.001以下であった(ブランク応答が非常に低いことが示された);(2)1a〜1cとH_2O_2との反応の2次速度定数kは安息香酸エステル類のアルカリ加水分解と同程度またはそれ以上であり、kは1a<1b【approximately equal】1cの順であった;(3)最も良い定量性を示した1cを用いると4.6pmol〜92.3nmolの濃度範囲でH_2O_2を良好に検出できた:(4)1aおよび1cは、NO・に対して多少応答を示すものの、HO・、t-BuOOH、ONOO^-およびO_2^<-・>には殆ど応答せず、H_2O_2に対して非常に高い特異性を示した。更に、1a〜1cの細胞系への適用性を淡水性緑藻Chlamydomonas reinharadtiiを用いて検討した。先ず、1a〜1cのacetyl化体2a〜2cまたは市販のH_2O_2蛍光プローブDCFH-DAを緑藻に負荷した。プローブ負荷した緑藻を、光照射下または暗条件下、刺激剤であるCu^<2+>、Paraquatまたはmethylene blueを様々な濃度で含む培地中1時間培養した後、蛍光強度を測定した。その結果、2aと2cは、DCFH-DAに比べて高特異的に緑藻が発生するH_2O_2を検出できることが明らかになった。以上の結果から、1aと1cならびに2aと2cが高特異的H_2O_2蛍光プローブとして実用性を有することが示された。現在、それらのプローブを用いて好中球が産生するH_2O_2の検出を試みると共に、より高感度なH_2O_2蛍光ブロープの分子設計も行なっている。 (II)スーパーオキサイド(O_2^<-・>)蛍光プローブ 1a〜1cにおけるbenzenesulfonyl基のベンゼン環上の置換基の影響について検討したところ、fluorescein、2',7'-dichlorofluorescein、2',7'-difluorofluoresceinおよび2',4',5',7'-tetrafluorofluresceinのbis-O,O'-2,4-dinitrobenzenesulfonyl化体3a〜3dがH_2O_2ではなく、O_2^<-・>との反応により脱sulfonyl化されること、つまり、3a〜3dがO_2^<-・>蛍光プローブとして利用できることを見い出した。現在、3a〜3dについて、プローブ特性だけでなく、好中球が産生するO_2^<-・>の検出への適用性も併せて評価している。
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Research Products
(1 results)