2004 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化水素の生体内ダイナミック解析を目的とした蛍光プローブの戦略的開発
Project/Area Number |
15390012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 初男 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00229311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 收正 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (30199062)
伊藤 徳夫 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (60176352)
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Keywords | 蛍光プローブ / 活性酸素種 / スーパーオキサイド / 可視化 / バイオイメージング / チオール / コリンエステラーゼ / コリンエステラーゼ阻害薬 |
Research Abstract |
(I)スーパーオキサイド(O_2^<-・>)蛍光プローブ 蛍光性化合物fluorescein、2',7'-dichlorofluorescein、2',7'-difluorofluoresceinおよび2',4',5',7'-tetrafluorofluoresceinのO, O'-bis(2,4-dinitrobenzenesulfonyl)化体1a〜1dがO_2^<-・>プローブとしての可能性を有することを見い出した。そこで、O_2^<-・>だけでなく他の活性酸素種(ROS)であるH_2O_2、HO・、NaOCl、^1O_2、NO・およびONOO^-、生体チオールglutathioneならびに細胞内に存在する還元酵素系Cyp reductase-NADPH、diaphorase-NADH等に対する1の応答性を比較検討することにより、O_2^<-・>プローブとしての特異性を評価した。その結果、1a〜1cはROSの中ではO_2^<-・>に対して選択性はあるものの、glutathioneに対して大きな応答を与えた。一方、1dはglutathioneや還元酵素系に対して応答は示すものの、その応答はO_2^<-・>に対する応答に比べて10%以下であった。その結果、1dが最も高感度かつ高特異的なO_2^<-・>蛍光プローブであることが明らかになった。また、phorbol myristate acetate(PMA)刺激により好中球が産生するO_2^<-・>に対して1dは高感度に応答を示した。この応答はスーパーオキサイドジスムターゼを添加することにより顕著に軽減した。その結果、1dは細胞系においてもO_2^<-・>に対して高特異的な蛍光プローブであることが示された。現在、1dの特異性・感度を更に向上するために、2',4',5',7'-tetrafluorofluoresceinの様々なO-nitrobenzenesulfonyl化体についてプローブ特性を評価し、より実用的なO_2^<-・>蛍光ブローブの設計開発を行なっている。 (II)チオール蛍光プローブ 当初の計画にはなかったが、1a〜1cがglutathioneに対して応答を示した現象に基づき、新規チオールプローブの設計開発を試みた。その結果、fluoresceinと2',7'-dimethylfluoresceinのO-(2,4-dinitrobenzenesulfonyl)化体2aと2bが実用的チオール蛍光プローブであることを見い出した。2と人工酵素基質であるacetylまたはbutyryl thiocholineを用いる系がacetylまたはbutyryl cholinesteraseのアッセイ法となること、および、このアッセイ法はcholinesterase阻害薬の簡便なIC_<50>値決定法としても利用できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)