Research Abstract |
(I)スーパーオキサイド(O_2^<-・>)蛍光プローブ 昨年度開発したプロトタイプO_2^<-・>プローブ3',7'-bis-(2,4-dinitrobenzenesulfonyl)2',4',5',7'-tetrafluoro-fluorescein(1d)をリード化合物として,確立した設計戦略に基づいて(1)2,4-dinitrobenezenesulfonyl基から2-nitrobenzenesulfonyl基への保護基の変更,(2)2-nitrobenzenesulfonyl基によるビス保護型からモノ保護型への保護様式の変更,(3)2-nitrobenzenesulfonyl基から電子供与性基を導入した2-nitrobenzenesulfonyl基への保護基の変更,という分子設計を経て1dに比べて特異性だけでなく感度も高い実用的なO_2^<-・>蛍光プローブとして3'-(4,5-dimethoxy-2-nitrobenzenesulfonyl)2',4',5',7'-tetrafluorofluorescein(BESSo)の開発に成功した。BESSoを用いることにより,より明確に好中球がphorbol myristate acetate刺激により細胞外に放出する(O_2^<-・>)を検出することができた。また,BESSoのacetoxymethyl化体(BESSo-AM)を予め細胞にロードすることにより,酪酸刺激によりヒトJurkat T細胞がその細胞内に(O_2^<-・>)を産生することを,フローサイトメトリーだけでなく,蛍光顕微鏡を用いたバイオイメージングにより確認できた。尚,BESSo-AM体は和光純薬工業から近日発売予定である。 (II)チオール蛍光プローブ 開発したチオールプローブ2,4-dinitrobenzenesulfonyl2',7'-dimethylfluorescein(BESThio)を用いたアッセイ系によりcarbonic anhydrase II, human serum albumin, bovine serum albumin等のタンパク質中に存在するフリーのシステイン残基を高感度に定量できることを明らかにした。尚,BESThioも和光純薬工業から近日発売予定である。 (III)セレノール蛍光プローブ BESThioがpH5.8では,チオール,アミンおよびアルコール類に対して全く応答を示さず,セレノシステイン(SeCys)に対してのみ高特異的かつ高感度に応答を示すセレノールプローブとして機能することを明らかにした。更に,BESThioを用いることにより,変性操作は必要とするが,セレノプロテインであるウシ赤血球由来glutathione peroxidaseとラット肝由来thioredoxin reductaseのSeCys残基数を高感度に再現性よく簡便に決定できた。
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