2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトCYPの遺伝子多型による薬物代謝活性変化の網羅的解析
Project/Area Number |
15390015
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宇野 公之 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00183020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富杉 佳計 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80322311)
石川 吉伸 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (00305004)
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Keywords | シトクロムP450 / 薬物代謝 / 結合定数 / 共鳴ラマン分光 / 平衡透析 / 基質特異性 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトの薬物代謝に関わる酵素の中でも主要な位置を占めるシトクロムP450(CYP)を対象とし、ヒトゲノムの一塩基多型(SNP)情報を基礎とする各種変異体の薬物結合性と薬物代謝活性の網羅的測定を通して、ゲノム情報に基づいたオーダーメード医療を可能にする分子論的指針の確立を目的とする。今年度においては、まず申請者がすでに構築したCYP2C9の大量発現系を用い、SNP情報に基づき作成したCYP2C9と2C19の各種変異体を調製した。これらCYPの野生型及び変異体について、薬物結合性の測定を行った。CYPを薬物で滴定して吸収スペクトル変化を追跡したところ、ヘム鉄に水が配位した低スピン状態から薬物の結合に伴って高スピン状態へと変化した。この変化の度合いは薬物によって様々であることがわかった。また、微量透析法を用いてCYPに薬物を結合させ、HPLCにて薬物結合量を定量した。CYP2C9で代謝されるジクロフェナクやワルファリンは予想通りCYP2C9に高い親和性を示したが、従来CYP3A4で代謝されると考えられてきたニフェジピンはジクロフェナクより数倍高い親和性を持つことがわかった。また、ジアゼパムはCYP2C19で代謝されると考えられてきたが、CYP2C19よりCYP2C9に対してより高い親和性を持つことがわかった。これらの知見は、これまで考えられてきた薬物-CYPの特異性を根底から見直すべきであることを強く示唆している。今後薬物の種類を100種類程度に拡張し、検討を続けていく予定である。
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