2003 Fiscal Year Annual Research Report
受精における細胞外ユビキチン-プロテアソームシステムの解明
Project/Area Number |
15390023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤田 均 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60158946)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / 精子 / 受精 / ホヤ / 卵黄膜 / ライシン / プロテアーゼ |
Research Abstract |
3年間の上記研究課題における初年度の研究に関して、当初の計画をほぼ遂行したので報告する。 我々は、原索動物マボヤの2種類の精子トリプシン様酵素(アクロシンとスペルモシン)と精子プロテアソームが、精子の卵黄膜通過に重要な役割を果たすことを明らかにしているが、その中でも精子プロテアソームは、卵黄膜に直接精子通過口をあけるライシンとして機能することを報告している。しかし、プロテアソームの活性だけでは卵黄膜成分を分解するのに十分ではなく、細胞外で卵黄膜をユビキチン化する活性が欠かせないことを突き止めた。そこでまず、この細胞外で機能する新規ユビキチン化酵素群の単離と性状解析を試みた。マボヤ精子は、卵黄膜上で精子反応と呼ばれる先体反応に相当する反応を引き起こす。その精子反応後の遠心上清(精子浸出液)中に、卵黄膜成分VC70をユビキチン化する酵素活性が検出された。そこでこの酵素を陰イオン交換クロマトグラフィー、ユビキチン-アガロースによるアフィニティクロマトグラフィー、密度勾配遠心分離により精製した。本精製酵素は、分子量700Kの高分子量複合体を形成しており、VC70を特異的にユビキチン化する。また、その活性発現には海水条件である10 mM Ca^<2+>が必要であり、細胞内ではなく確かに細胞外の海水中で活性を発現しうることが示された。さらに、本酵素の至適pHは8付近であり、これも海水中で機能しうることを示している。ユビキチン化の反応には、遊離のユビキチンと細胞外ATPが必要となるが、いずれも受精時に精子・卵懸濁液から細胞外に放出されること、また精子浸出液中にもこれらが存在することを見いだした。細胞外のATPをアピラーゼによって分解すると、マボヤの受精が阻害されることも見いだし、細胞外ATPが確かにマボヤの受精に重要な役割を果たすことが確認された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Sakai, H.Sawada, H.Yokosawa: "Extracellular ubiquitin system implicated in fertilization of the ascidian, Halocynthia roretzi : isolation and characterization"Developmental Biology. 264. 299-307 (2003)
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[Publications] H.Sawada, K.Nagahiro, Y.Kikukawa, S.Ban, R.Kakefuda, T.Shiomi, H.Yokosawa: "Therapeutic effects of camostat mesilate on Duchenne muscular dystrophy in mdx mice"Biological & Pharmaceutical Bulletin. 26. 1025-1027 (2003)
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[Publications] H.Sawada, Y.Kikukawa, S.Ban, T.Kakudo, H.Yokosawa: "Expression of trypsin-like proteases and protease nexin-1 mdx mouse muscles"Biochemical and Biophysical Research Communications. 314. 654-658 (2004)
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[Publications] N.Sakai, M.T.Sawada, H.Sawada: "Non-traditional roles of ubiquitin-proteasome system in fertilization and gametogenesis"International Journal of Biochemistry and Cell Biology. 36. 776-784 (2004)