2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性呼吸器疾患の新規治療法の開発に向けた薬理基盤の構築
Project/Area Number |
15390030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮田 健 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90040310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒濱 洋一郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (10240920)
甲斐 広文 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (30194658)
高濱 和夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80150548)
徳冨 直史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (30227582)
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Keywords | 慢性閉塞性呼吸器疾患 / 肺上皮細胞 / 粘液遺伝子 / グリチルリチン / ETS転写因子 / GM-CSF |
Research Abstract |
慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)は,未だに有効な治療法が確立していない難治性の慢性呼吸器疾患である.本研究では,COPD治療薬の開発に向けた新たな薬理学的コンセプトを提唱することを目的とし,気道および肺胞上皮細胞の分化制御機構および上皮細胞の機能調節機構について分子生物学的および分子薬理学的に検討している.本プロジェクトの初年度である本年度は,まず,肺胞II型上皮細胞からI型上皮細胞への分化制御機構についてI型細胞に選択的タンパク質であるアクアポリン5をマーカーとして調べ,そのプロモーター解析ならびに種々の細胞機能に関する検討を行った.その結果,アクアポリン5の転写ならびにI型細胞への分化が少なくとも一部SP1転写因子に依存することを見出した.また,既に気道上皮細胞の分化における重要性を見出していたETS転写因子MEFが,肺上皮細胞においてCキナーゼ依存的に発現が亢進するケモカインGM-CSFの発現調節に必須であることを解明した.一方,COPDの病態生理と密接な関係にある気道粘液の産生制御機構についても,代表的粘液遺伝子であるMUC5ACのプロモーター解析を行い,転写抑制物質の検索を行った.その結果,従来,転写抑制物質は糖質コルチコイド以外に知られていなかったが,生薬甘草の主成分であるグリチルリチンがMUC5ACプロモーターの-1400〜200bp領域の活性を抑制し,糖質コルチコイド非依存的な転写抑制作用をもつことを見出し,粘液産生制御薬としての応用の可能性を示すに至った.これらの成績は,臨床的に応用可能なコンセプトとするために,さらに動物個体を用いたin vivo実験による検証が必要ではあるが,従来,全く困難であったCOPDの治療を考える上では,重要かつ確実な第一歩となる基礎データである.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Lu Z, Kim KA, Suico MA, Uto A, Seki Y, Shuto T, Isohama Y, Miyata T, Kai H.: "ETS2 is involved in protein kinase C-activated expression of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in human non-small lung carcinoma cell line, A549."Biochem Biophys Res Commun. 303. 190-195 (2003)
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[Publications] 礒濱洋一郎, Mohamed AM Morsy, 久恒昭哲, 宮田 健: "肺サーファクタント分泌におけるProstaglandin E2の役割"分子呼吸病. 7. 207-211 (2003)