2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規オキシトシナーゼサブファミリーの生物薬学的研究
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15390032
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
辻本 雅文 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室, 主任研究員 (00281668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 明 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室, 先任研究員 (50300893)
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Keywords | アミノペプチダーゼ / 胎盤性ロイシンアミノペプチダーゼ / 脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼ / 白血球由来アルギニンアミノペプチダーゼ / オキシトシナーゼサブファミリー / 抗原ペプチド / 小胞体貯留 / 本態性高血圧症 |
Research Abstract |
小胞体アミノペプチダーゼであるA-LAPのエクソン10にコードされている領域は、他のM1アミノペプチダーゼには認められない小胞体局在型酵素に特徴的なドメインである。分子系統樹から、本エクソンが分子進化の過程で挿入され、それによってユニークな機能を持ったA-LAP遺伝子が誕生したと推察される。A-LAPのエクソン10にコードされている24アミノ酸の役割について解析を行った。293細胞にA-LAPを発現させた場合、野生型酵素は小胞体内腔に局在するが、エクソン10を欠失したA-LAP(A-LAPΔ24)の場合は細胞外へと分泌された。このことは本領域がA-LAPの小胞体貯留において重要な役割を果たしていることを示唆している。また、A-LAPΔ24の酵素学的性状を野生型と比較したところ、それは野生型の約2倍の高値を示した。すなわち、A-LAP活性は他のM1アミノペプチダーゼと比較して相対的に低いが、それはエクソン10の挿入に起因していることが示された。A-LAPが弱い活性を持つことは、基質ペプチドをアミノ酸レベルにまで完全に消化せず、MHCクラスI分子との結合に適した鎖長(8-10アミノ酸)のペプチドの生成には有利であると考えられる。すなわち、A-LAPはエクソン10の挿入によって、MHCクラスI抗原ペプチドのトリミング酵素として重要な機能を獲得したと考えられる。 また、高血圧症との相関が指摘されているA-LAP遺伝子の一塩基置換変異体(Lys528Arg A-LAP)の酵素学的性状について解析した。その結果、Lys528Arg A-LAPでは野生型に比べて顕著に酵素活性の低下が認められ、他の一塩基置換変異体は野生型とほぼ同様の活性を示した。このことから、528番目のLysが酵素活性に重要であり、Argへの置換による酵素活性の低下が、高血圧症発症の一因になっている可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)