2004 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門を介した物質輸送制御を基盤にする中枢系医薬品探策の新戦略
Project/Area Number |
15390035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (00302612)
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00345258)
広野 修一 北里大学, 薬学部, 教授 (30146328)
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Keywords | 血液脳関門 / トランスポーター / 排出輸送 / 有機アニオン / ファーマコフォア / 基質選択性 |
Research Abstract |
血液脳関門を介した異物排泄機構を克服するためのドラッグデザイン確立のために、ligand-basedなアプローチにより血液脳関門に発現する異物排泄トランスポーターの基質認識特性を明らかにすることを目的とした。ホモロジーモデリングにより、Oat3の立体構造を予測した。構築した立体モデルでは、過去の変異体解析により基質認識に重要であることが示唆されていたアミノ酸が比較的近い領域に集積することが明らかになった。更に、前年度ligand-basedなアプローチにより確立したファーマコファオアモデルをこの領域に配置したところ、各ファーマコフォアと相互作用することが予想されるアミノ酸クラスターと変異体解析の結果が一致したことから、推定した立体モデルは妥当なものと考える。Oat3について、血液脳脊髄液関門を介した解析を進め、Oat3はp-アミノ馬尿酸やベンジルペニシリンの他、除草剤の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の脳脊髄液からの排出にも関与していることを見出した。更に、カチオン性薬物であるが、シメチジンやラニチジンなどH_2受容体拮抗薬の脳脊髄液からの排出にもOat3が関与していることを見出した。これらの化合物のMEPを計算すると、H_2受容体拮抗薬の分子構造の中にもマイナス電荷が局在している領域がある。この領域がH_2受容体拮抗薬とOat3との相互作用に必要であることが示唆された。ラットとヒト遺伝子で基質選択性を比較すると、OAT3についてはラット-ヒト間で輸送活性が異なる基質もあることを見出し、化合物によっては輸送活性に種差があることを見出しており、化合物によっては動物実験の結果を直接ヒトに外挿することが難しいことを明らかにしている。
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Research Products
(5 results)