2004 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族炭化水素受容体を介した内分泌攪乱物質の毒性発現機構の解析
Project/Area Number |
15390040
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山崎 浩史 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (30191274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤枝 正輝 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00344474)
鎌滝 哲也 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00009177)
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Keywords | AHR / 多環芳香族炭化水素 / ダイオキシン / CYP1A1 / CYP1B1 |
Research Abstract |
タバコ煙中,ディーゼル排気中に多く含まれる環境汚染物質である多環芳香族炭化水素(PAH)は多環芳香族受容体(AHR)を介して様々な毒性を発現する.しかしながら毒性発現の詳細な機構については不明である.そこで本年度は簡便でかつ一度に何千もの遺伝子発現の変化が解析できるDNAマイクロアレイ法を用いて新規AHR標的遺伝子の同定し,PAHの毒性発現機構を明らかにすることを目的とした.野生型マウスおよびAHRノックアウトマウスにAHRのリガンドである3-methylcholanthrene(MC)を投与し,肝臓から全RNAを調製した.調製したRNAにおける遺伝子の発現変動をDNAマイクロアレイを用いて解析し,新規AHR標的遺伝子の探索を行った.解析の結果,PAHにより発現が抑制される遺伝子としてPPARα標的遺伝子を同定した.このPPARα標的遺伝子の発現抑制にはPAHによるAHRを介したPPARαシグナル伝達の抑制が原因であることを明らかにした.このPPARαシグナル伝達系は脂肪酸分解に関与する遺伝子の発現を制御している因子であるため,マウス肝小葉でのPAHによる脂肪滴の発生には,このシグナル伝達系の阻害が重要であることが示唆された.PAHによる脂質代謝異常や脂肪肝の発生は重要な毒性症状でありながらその原因が全くわかっていなかった毒性であることより,この研究成果はPAHによる脂質代謝異常や脂肪肝の毒性発現機構を解明するための重要な知見であると考えられる.
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Research Products
(6 results)