2003 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞への新規プラスミドDNAデリバリー戦略の確立とDNAワクチン療法の最適化
Project/Area Number |
15390048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40273437)
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Keywords | DNAワクチン / 樹状細胞 / プラスミドDNA / DNAキャリアー / 局所投与 / 抗原提示細胞 / 抗体産生 / 免疫応答 |
Research Abstract |
液性免疫のみならず細胞性免疫をも誘導できるDNAワクチンのアプローチは、近年、細菌やウイルス感染症、がん、免疫疾患等さまざまな疾病に対する新たな治療法として期待されている。しかしながら期待どおりの成果が挙げられているとは言いがたく、投与の最適化が望まれている。DNAワクチンの効果発現メカニズムに関しては未だ不明な点が多く、さらなる基礎的な検討が必要ではあるが、本現象において最も重要な役割を果たしている樹状細胞へのプラスミドDNAのデリバリーの最適化が最重要課題であることは共通の認識となっている。そこで本研究では、最も強力な抗原提示細胞であり、DNAワクチンの効果を大きく左右する樹状細胞を標的に選定し、DNAワクチンの効果を最大限に引き出せる新しいデリバリーシステムの開発を目指す。本年度は、新規DNAキャリアーとしてカチオン性高分子であるメチル化ウシ血清アルブミンを選択し、種々の電荷比で複合体を調製した。その結果、複合体化により投与部位におけるpDNAの滞留性およびリンパ移行性が増大し、投与部位での見かけの遺伝子発現量は減少したが、抗原特異的な免疫応答が上昇することが明らかとなった。この機構を調べたところ、複合体化により血液中の樹状細胞の投与部位への集積が促進され、それによりプラスミドDNAまたは産生された抗原タンパク質が樹状細胞によりデリバリーされたことが関与しているものと推察された。以上よりカチオン性高分子との複合体化は、局所投与時の体内動態・遺伝子発現を制御し、それによって免疫応答を増強できる可能性が示された。
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