2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造認識標的化プローブを用いた腫瘍新生血管傷害療法の確立
Project/Area Number |
15390050
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Research Institution | UNIVERSITY OF SHIZUOKA |
Principal Investigator |
奥 直人 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10167322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
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Keywords | リポソーム / 薬物送達システム / DDS / がん治療 / 新生血管 / 血管新生 / 腫瘍新生血管傷害療法 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究は、腫瘍新生血管を標的とした効率的で副作用の少ないDDS製剤を開発することを目的としてスタートした。これまでに腫瘍新生血管に対する特異的プローブを開発し、効率的ながん治療法(腫瘍新生血管傷害療法)を提唱した。本研究ではよりよいプローブの開発のため、腫瘍血管新生標的分子を蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(DIGE)およびTOF-MSにより探索した。ヒト臍帯内皮細胞をVEGFおよび腫瘍培養上清により刺激し、未刺激と比較検討した結果、36個のタンパク質の同定に成功した。同定したタンパク質の中にはミトコンドリア電子伝達系に関連する分子群、解糖系・ペントースリン酸回路に関連する分子、抗酸化ストレス分子、細胞骨格調節分子等があった。すでにVEGFとの関連が報告されているものもあったが、機能不明のタンパク質も存在した。次に細胞質と膜画分に分画して、プロテオーム解析を行った。膜タンパク質のプロテオーム解析の結果、76のタンパク質において発現量に差があることが確認された。特にこれまで、がん化により膜画分への移行が知られていたが、機能が明確でなかったタンパク質で大きな発現変動が見られたものを見いだしたため、その局在化の変動などについて解析した。さらに詳細な解析を進めている。また腫瘍新生血管傷害療法の改良と機構解明を目的に新生血管内皮細胞に高い発現を示す膜型マトリックスメタロプロテアーゼMT1-MMPに対する抗体を修飾したイムノリポソームに抗がん剤を内封し、培養細胞に対する殺細胞効果および担がんマウスに対する治療効果の検討を行った。その結果、ヒト繊維芽肉腫細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞に対する高い細胞増殖抑制効果を見いだした。しかしながら抗体を用いた場合にはマウスに対する抗体の交差性が問題となることも明らかとなった。
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Research Products
(2 results)