2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390051
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE |
Principal Investigator |
玉井 郁巳 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20155237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 智司 東京理科大学, 薬学部, 助手 (60303294)
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Keywords | トランスポーター / 肝毒性 / 核内受容体 / 肝取り込み / OATP / 有機アニオントランスポーター |
Research Abstract |
薬物毒性は、市場からの撤退や臨床試験中にドロップアウトなど、医薬品開発の大きな障害になっている。特に稀でしかも重篤な毒性作用も見られる場合も多く、毒性発現機構や影響因子を明確にすることが求められている。 細胞膜輸送に働くトランスポーターは薬物の吸収、組織蓄積性や消失に関与している。そのため、その活性変動は、薬物動態の変動に直結し、有効性・毒性にも影響する。本研究では特に薬物輸送に働き、しかも毒性が重篤な場合が多い、肝臓に発現するトランスポーターに着目し薬物毒性との関連について検討を行った。 トログリタゾンはインスリン非依存性糖尿病治療薬として開発されたが、肝毒性により市場から撤退した。トログリタゾンは硫酸抱合体、グルクロン酸抱合体、酸化キノン体、及びグルタチオン抱合体の代謝物が現れるが、特に硫酸抱合体は肝細胞内ならびに血漿中とも高濃度に見られる。有機アニオントランスポーターのOATP-Cはこの硫酸抱合体を基質として認識することがわかった。硫酸抱合体は腸管循環を受けるが、門脈血中から肝細胞内への取り込みにOATP-Cが関与し、肝細胞内で蓄積した硫酸抱合体が胆汁酸やビリルビン動態に影響する可能性が示された。さらに臨床的な血漿中濃度でOATP-Cは硫酸抱合体によって阻害される可能性も示唆された。同様に抗癌剤イリノテカンの代謝物で消化管毒性が重篤なSN38についても同様にOATP-Cの関与が示された。 以上の結果より、肝取り込みに働く有機アニオントランスポーターOATP-Cを介する薬物輸送は、親化合物のみならず代謝物も考慮した輸送にも働くため、その活性に注意すべきことが示された。
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Research Products
(5 results)