2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質セラピー法による細胞内小器官のカルシウムイオン動態イメージング
Project/Area Number |
15390064
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松井 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30157234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 一仁 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40274287)
松下 正之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30273965)
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Keywords | カルシニューリン / カルパスタチン / カルパイン / 神経細胞死 / グルタミン酸 / カイニン酸 / FK506 / タンパク質セラピー法 |
Research Abstract |
Ca2+イオンによって制御を受ける脱リン酸化酵素カルシニューリンによる神経細胞死の制御メカニズムを解明し、さらにこれを利用した新しい脳保護薬を創出した。得られた成果は以下のとおりである。 1)これまで独立した経路と考えられてきたカルシニューリン系とカルパイン(Ca^<2+>イオンにより活性制御を受けるプロテアーゼ)系の間にクロストークがあることを初めて明らかにした。 2)このクロストークは脳虚血後の神経細胞死のモデルである興奮性神経細胞死において重要な働きをする事を明らかにした。 3)カルシニューリンの触媒サブユニットAはカルパインによって三カ所で切断され57Kda、48Kda、45Kdaの三種類のC末端欠失産物を生じる。57KdaはCa2+/カルモデュリンによる活性被制御能を保持しているが、48Kda、45Kdaの産物は自己抑制ドメインを欠失するため構成的活性型となる。 4)海馬ならびに皮質の初代培養細胞をグルタミン酸あるいはカイニン酸で短時間刺激(15分)するとカルシニューリンAの分解産物が産生され刺激後3時間程度で最大となり24時問以上持続して存在する。 5)マウスにカイニン酸を投与し、5日程度後に遅発性に出現してくる海馬興奮性神経細胞死モデルでも構成的活性型のカルシニューリンが産生された。 6)構成的活性型のカルシニューリンAを海馬の培養神経細胞に発現させるとカイニン酸やグルタミン酸などの刺激を加えなくても、カスパーゼ3の活性が上昇し、Tunel陽性細胞が出現してアポトーシスが誘導された。 7)カルシニューリン抑制剤FK506やカルパインインヒビターはこのアポトーシス出現を抑制した。 8)タンパク質セラピー法を応用して作成した11R-CSペプチドは培養細胞の構成的活性型カルシニューリンの出現を抑制し神経細胞死を抑制した。 本研究により神経細胞死の新しい機構を示し、この機構を利用した新しい治療法を提示する事ができた。
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Research Products
(16 results)