Research Abstract |
本研究の目的は,エンドセリンタイプA受容体(ET_AR)により活性化されるCa^<2+>チャネル-受容体作動性およびストア作動性Ca^<2+>チャネル-のcDNAをクローニングし,その構造および機能を解明することである。これまでの研究により,アフリカツメガエル卵母細胞への^<45>Ca^<2+>の取り込みを指標としたスクリーニング系をほぼ完成できた。このように完成された系を用いて,ヒト脳および血管のcDNAライブラリーを10分割し,in vitroで合成した各画分cRNAとET_ARのcRNAを卵母細胞に同時に微量注入してスクリーニングを行った。対照群としては,ET_ARのcRNAだけを微量注入したものを用いた。cRNAの微量注入を行うと,50-60%の卵母細胞が死滅するので,最終的に少なくとも20個前後が残るように,一群として60個の卵に微量注入を行った。そのように大規模な実験を行ったにもかかわらず,一次および二次スクリーニングの段階では陽性画分を得ることはできなかった。そこで,酵母two-hybrid系およびGST pull-down系を用いて,ET_ARにより活性化されるCa^<2+>チャネルまたはCa^<2+>チャネル機能を修飾する分子群を網羅的に検索することにした。その結果,JAB1やDNAJB1などの転写調節因子,Annexin, TRDN, NISHなどの筋収縮調節因子,UBE2Nなどのユビキチン化酵素調節因子など合計26種類のクローンを単離することができた。現在,これらの分子について,ET_ARの細胞内シグナル伝達における役割,Ca^<2+>チャネル機能調節における役割,ET_AR刺激により誘発される細胞機能・形態などのフェノタイプにおける役割,などについて検討を加えているところである。
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