2004 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患におけるエンドセリンの関与の解明に関する分子薬理学的検討と新治療法開発
Project/Area Number |
15390077
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮内 卓 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60222329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 勝年 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30012660)
櫻井 武 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (60251055)
錦辺 優 萬有製薬(株), 安全性研究所, 所長(研究職)
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Keywords | エンドセリン / 高血圧 / 心不全 / 心肥大 / PPAR-α / フェノフィブレート / エンドセリン拮抗薬 / AP-1 |
Research Abstract |
心不全・心肥大はその経過中に心筋の線維化をきたし、これが左室拡張能低下の一因となっていると考えられ、そこにエンドセリン(ET)が関与すると考えられる。本研究にて、脂肪酸代謝と関係が深いPPAR-αとET-1との関連を検討した。高血圧肥大心線維化のモデルであるDOCA-saltラットにPPARα刺激薬の一つであるfenofibrate(80mg/kg/day)を5週間投与を行った群と、vehicle投与を行った群で検討した。さらにエンドセリン拮抗薬の併用を行った。拡張能の指標であるLVEDP、-dP/dt/Pはfenofibrate投与により有意に改善した。左室コラーゲン染色、hydroxyproline定量、procollagen I & III mRNA発現という線維化の指標の比較においてもfenofibrate投与によって有意な抑制が認められた。NFκBは炎症性サイトカインの産生増加に関与しており、NFκBのbinding activity、NFκBの抑制蛋白であるIκBαの蛋白発現の他に、炎症性サイトカインのmRNA発現を検討した。その結果、fenofibrateはIL-6、COX-2、VCAM-1、MCP-1 mRNA発現、NFκB活性のいずれも有意に抑制し、同時に1κBα蛋白量を増加させた。AP-1はET-1やET-B受容体のmRNA発現を亢進するという報告があり、これらの発現の増加は線維化の亢進に関与すると報告されている。対照投与群ではET-1、ET-B受容体のmRNA発現は有意に増加していたが、fenofibrate投与により有意に抑制された。上記の各種パラメーターは、エンドセリン拮抗薬の併用にて更なる改善がもたらされた。本研究により、フェノフィブレートによるPPAR-αの活性化は、AP-1の活性化を抑制することによりET-1による心肥大を抑制することが示唆された。AP-1はET-1やET-B受容体のmRNA発現を亢進するという報告があり、これらの発現の増加は線維化の亢進に関与すると報告されている。PPAR-αの活性化およびET-1遮断は、高血圧肥大心線維化のモデルであるDOCA-saltラットの心肥大を抑制し、心筋線維化も抑制することが示唆された。
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Research Products
(6 results)