2003 Fiscal Year Annual Research Report
長期抑圧誘発を制御する小脳プルキンエ細胞内IP_3の時空間ダイナミクス
Project/Area Number |
15390079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 謙造 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00292730)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / イノシトール三リン酸 / カルシウム / LTD |
Research Abstract |
本研究の目的は、小脳プルキンエ細胞において平行線維と登上線維の連合刺激の情報がIP_3の時間的、空間ダイナミクスとしてどのように統合され、LTD誘発の制御に寄与するのかを明らかにすることであるが、このためIP_3プローブであるGFP-PHDをスライス標本にあるプルキンエ細胞内に高効率に導入可能とする技術が必須である。平成15年度においては、従来我々が行ってきたsindbisウイルスによるGFP-PHD導入法を再検討し、マウスの小脳内に注入するウイルスの量と部位について最適な条件を得ることができた。さらに、パッチクランプ法を組み合わせることによって、プルキンエ細胞において誘発されるEPSCを記録しながら同時にIP_3イメージングを行うことができる実験系を確立した。この実験系を用いて、平行線維刺激よって実際に細胞内でIP_3濃度上昇が惹起されることが分かった。さらに、刺激パターンに対する応答を調べ、平行線維刺激で誘発されるIP_3濃度上昇は、低頻度あるいは弱い刺激によって僅かしか起こらないのに対し、高頻度刺激では大きなIP_3濃度上昇が認められ、その依存性は非線形的であることが示された。平行線維シナプスにおいては、イオンチャネル型と代謝型の2種類のグルタミン酸受容体が活性化されることが知られており、代謝型が一般的にIP_3産生に関わると考えられているので、代謝型グルタミン酸受容体の遮断薬の効果を調べた。代謝型グルタミン酸受容体遮断薬によって、平行線維刺激で誘発されるIP_3濃度上昇は著しく抑制されることを見出し、代謝型グルタミン酸の関与を裏付けることに成功した。また、平成16年度において、IP_3受容体の機能制御が必要であるが、IP_3受容体遺伝子機能をRNAiで高効率にノックダウンする系を確立した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 井上尊生 他: "Spatiotemporal Laser Inactivation of Inositol 1,4,5-Trisphosphate Receptors Using Synthetic Small-Molecule Probes."Chem.Biol.. 10. 399-412 (2003)
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[Publications] 並木繁行 他: "Intracellular delivery of glutathione S-transferase into mammalian cells."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 305. 592-597 (2003)
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[Publications] 冨田太一郎 他: "FAT functions as working memory of Ca^<2+> signals in decoding Ca^<2+> oscillation"EMBO.J.. 22. 3825-3832 (2003)
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[Publications] 江藤一弘 他: "Glucose metabolism and glutamate analog acutely alkalinize pH of insulin secretory vesicles of pancreatic beta-cells."Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.. 285. E262-E271 (2003)
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[Publications] Uchino, M 他: "Isoform-specific Phosphorylation of Metabotropic Glutamate Receptor 5 by Protein Kinase C (PKC) Blocks Ca^<2+> Oscillation and Oscillatory Translocation of Ca^<2+>-dependent PKC."J.Biol.Chem.. 279. 2254-2261 (2004)
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[Publications] 白根大資 他: "Enzymatic production of RNAi libraries from cDNAs."Nature Genet.. 36. 190-196 (2004)