2004 Fiscal Year Annual Research Report
長期抑圧誘発を制御する小脳プルキンエ細胞内IP_3の時空間ダイナミクス
Project/Area Number |
15390079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 謙造 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00292730)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / イノシトール三リン酸 / カルシウム / LTD |
Research Abstract |
本研究では、小脳プルキンエ細胞において平行線維と登上線維の刺激情報がどのようにしてIP3の時空間動態を作り出すのかを明らかにし、シナプス可塑性の機構に迫ることを目指している。これまで、登上線維がIP3動態に与える影響を調べてきたが、本年度においては平行線維刺激がIP3動態にどのような変化を与えるのかを中心に解析した。IP3プローブであるGFP-PHDをプルキンエ細胞に発現させ、二光子励起レーザー顕微鏡でIP3動態を調べた。平行線維刺激によって、GFP-PHDの細胞膜から細胞質への移動が観察され、IP3濃度上昇が起こることが確認された。平行線維プルキンエ細胞シナプスはグルタミン酸作動性であるが、シナプス後部のグルタミン酸受容体としてはイオン透過型(iGuR)と代謝型(mGuR)が知られている。mGluRがIP3産生を制御すると考えられていたが、この考えに合致して、mGluRの遮断薬によってGFP-PHDの移行が抑制された。しかし、従来の説に反し、iGluRのアンタゴニストによってもGFP-PHDの移行が抑制されることを見出した。この結果は、iGluRも平行線維刺激によるIP3産生に重要な役割を果たすことを示す。さらに、細胞内にGDPβSあるいはBAPTAを導入するといずれの場合でもIP3産生が抑制されることが明らかになった。以上の結果から、平行線維入力によるIP3産生において、mGluR、iGluRともに重要であり、それぞれ、GTP結合蛋白質、カルシウム流入依存性の機構を介し、協調的に働くことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)