2004 Fiscal Year Annual Research Report
NO耐性の新しい発生機序(活性酸素の役割)に関する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
15390083
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70159888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 征五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60079994)
鈴木 佳克 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30254288)
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Keywords | ニトログリセリン / アンギオテンシンII / 1型アンギオテンシンII受容体 / 一酸化窒素 / 活性酸素 / 血管平滑筋 / 内皮細胞 / 肺静脈 |
Research Abstract |
ウサギ肺内静脈におけるアセチルコリンの内皮依存性弛緩反応に対するニトログリセリン(NTG)長期投与の効果と、それに対する1型アンギオテンシンII受容体(AT_1R)の関与について検討した。 NTGパッチを10日間連続投与したウサギ群(NTG群)、NTG投与と共にAT_1R阻害薬valsartan(10mg/kg/day)を経口投与した群(NTG+Val群)、およびコントロール群の3群より得た肺内静脈を用いて行った。 シクロオキシゲナーゼ阻害薬diclofenac存在下で、内皮温存標本においてのみ、アセチルコリンによる弛緩反応が認められた。このアセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応の一部分はcharybdotoxinとapaminの2つのCa^<2+>依存性K^+チャネル阻害薬により抑制され、大部分はNO合成酵素阻害薬のL-ニトロアルギニンで抑制された。 NTG群から得た肺内静脈標本では、アセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応がコントロール群より有意に減弱していたが、NOドナーであるNOC-7による内皮非依存性の弛緩反応に差は認められなかった。このNTG投与による内皮依存性弛緩反応の減弱は、valsartanの同時投与により正常化された。 免疫組織化学的検討により、NTG群では血管壁でのアンギオテンシンIIの局在量および内皮細胞での活性酸素の産生が増加していた。これらの増加は、NTG+Val群で正常化した。 以上より、ウサギ肺内静脈において、アセチルコリンは主に内皮由来NOを介して内皮依存性弛緩反応を発生していること、NTGの長期投与がアンギオテンシンIIによる活性酸素生成増加を介して、内皮依存性弛緩反応をダウンレギュレーションさせることが明らかになった。また、この内皮機能異常の発現にAT_1Rが大きく関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)