2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390085
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Research Institution | Hoshi University School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 勉 星薬科大学, 薬品毒性学教室, 教授 (90130757)
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Keywords | メタンフェタミン / κオピオイド受容体 / TRK-820 / NMDA受容体 / イフェンプロジル / 中脳辺縁ドパミン神経系 / 報酬効果 / 逆耐性 |
Research Abstract |
本研究ではNMDA受容体拮抗薬であるイフェンプロジルおよび新規kオピオイド受容体作動薬であるTRK-820の覚せい剤依存症治療薬としての可能性を検討した。その結果、イフェンプロジルを脳室内投与することによりメタンフェタミン誘発報酬効果の形成は有意に抑制された。また、TRK-820の皮下または側坐核内投与によっても、メタンフェタミン誘発報酬効果の著明な抑制が認められた。さらに、形成されたメタンフェタミンの報酬効果に対するTRK-820の治療効果について検討したところ、TRK-820の後処置でもメタンフェタミンの報酬効果は消失した。メタンフェタミンは中脳辺縁ドパミン神経系の神経終末である側坐核に作用してドパミンの過剰遊離を引き起こし、強度の精神依存を形成させることが知られている。そこで、TRK-820の抑制効果を明確にするために、メタンフェタミン誘発ドパミン遊離促進作用に対するTRK-820の影響を検討した。その結果、メタンフェタミン投与後に認められるドパミンの過剰遊離はTRK-820を側坐核内に前処置することにより有意に抑制された。また、メタンフェタミンを慢性投与した後、低用量のメタンフェタミンを投与すると、低用量メタンフェタミンの単回投与時と比較して側坐核におけるドパミン遊離作用の増強、すなわち逆耐性現象が認められるが、このような逆耐性が形成された条件下においても、TRK-820を前処置することにより、ドパミンの過剰遊離は著明に抑制されることが明らかとなった。さらに、このような逆耐性を形成したラット側坐核では、kオピオイド受容体および内因性kオピオイド受容体リガンドであるpreprodynorphinのmRNA発現量が減少していた。以上、本研究の成果より、NMDA受容体拮抗薬イフェンプロジルおよび新規kオピオイド受容体作動薬TRK-820が覚せい剤依存症の治療薬となり得る可能性を見出した。
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Research Products
(11 results)