2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しいホスホリパーゼC分子種PLCεの活性制御機構と生体内機能の解析
Project/Area Number |
15390093
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝松 裕紀 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70335438)
島 扶美 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60335445)
佐藤 孝哉 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20251655)
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Keywords | ホスホリパーゼC / 低分子量G蛋白質 / Ras蛋白質 / Rap1蛋白質 / 心室拡張 / 半月弁逆流 / 半月弁狭窄 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
1 ホスホリパーゼCε(PLCε)遺伝子ノックアウトマウスでは、生後4週齢の時点で心臓が野生マウスに比べて著明に大きく、Mモード心エコー図により心室内径の増加が見られ心室拡張であることがわかった。ドップラー心エコー図と心カテーテル法により、大動脈弁に中等度の狭窄並びに顕著な逆流が認められ、左心室拡張は大動脈弁逆流による容量負荷によると結論された。肺動脈弁も同様であった。ノックアウトマウスの半月弁には、著明な弁葉の肥厚と形態異常が見られた。この表現型は、上皮細胞増殖因子(EGF)受容体の活性低下変異マウスやヘパリン結合性EGFノックアウトマウスの表現型と酷似しており、PLCεがEGF受容体下流でRasのエフェクターとして半月弁形成に関わっていることが示唆された。 2 ra3癌遺伝子依存性の発癌におけるPLCεの役割を個体レベルで解析するため、PLCεノックアウトマウスを用いて、化学発癌剤DMBAをイニシエータ、ホルボールエステルTPAをプロモータとした二段階皮膚化学発癌実験を行なった。その結果、ノックアウトマウスでは、野生マウスに比べパピローマの発生時期が著明に遅延し、発生個数が約4分の1に減少した。更に、扁平上皮癌へのプログレッションが全く起こらなかった。発生した腫瘍では全てH-ras遺伝子に活性型変異が見られた。この結果は、PLCεがras依存性の発癌に重要な役割を持つことを示した。 3 PLCεのRasとRap1との結合による細胞内空間特異的調節機構を解明するため、RasとRap1が各々細胞膜とゴルジ装置という異なった細胞内局在を示す機構を一部解明した。両者のアミノ酸番号85-89の5残基の交換により細胞内局在が逆転する事を発見し、この小領域が局在特異性の決定に必要十分であることを示した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kazuhiro Nomura, et al.: "Identification of a novel domain of Ras and Rap1 that directs their differential subcellular localizations"The Journal of Biological Chemistry. 279・(未定)(印刷中). (2004)
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[Publications] Shuji Ueda, et al.: "Role of the Sec14-like domain of Dbl and Ost guanine nucleotide exchange factors in the regulation of Rho family GTP-binding proteins in different subcellular compartments"Cellular Signalling. 16・(未定)(印刷中). (2004)
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[Publications] Dongmei Wu, et al.: "Neuronal lineage-specific induction of phospholipase Cε expression in the developing mouse brain"European Journal of Neuroscience. 17・8. 1571-1580 (2003)
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[Publications] Kayo Hibino, et al.: "Single- and multiple-molecule dynamics of the signaling from H-Ras to c Raf-1 visualized on the plasma membrane of living cells"Chemphyschem. 4・7. 748-753 (2003)