2004 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βおよびWntシグナル分子間相互作用によるシグナル制御機構
Project/Area Number |
15390101
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
澁谷 浩司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30261324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
漆山 誠一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (30334428)
白壁 恭子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00345315)
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Keywords | TGF-βシグナル / MAFbx / Atrogin1 / E3リガーゼ / MFB-1 / DAF7シグナル / DAF2 / DAF-c / F-boxタンパク |
Research Abstract |
本研究でTGF-βおよびWntシグナル分子の制御機能を解明するため、TGF-βおよびWntシグナルに関与する分子に相互作用する分子を単離し、研究を進めた。MAFbx/Atrogin1は筋萎縮に関与するユビキチンE3リガーゼである。我々はMAFbx/Atrogin1とTGF-βシグナルの関係を明らかにするため、その線虫相同遺伝子MFB-1を用いて遺伝学的機能解析を行った。MFB-1の生体内における機能を解析するため線虫mfb-1変異株を分離した。この変異体は単独では顕著な異常を示さなかったが、DAF-7経路においてシグナルを制御する遺伝子の変異体と二重変異にした際に、それらの変異体が単独で示す恒常的dauer形成(Daf-c)を顕著に増強させる表現型を示した。これに対して、dauer形成を制御するもう一つの経路として知られるDAF-2/インシュリン受容体様シグナル伝達経路におけるDAF-2変異体との二重変異では、そのDaf-c表現型に変化は見られなかった。逆にDAF-7経路のDaf-c変異体内でmfb-1遺伝子を過剰発現させた場合には、表現型を部分的に抑制できることも確認できた。また、DAF-7経路の変異体との二重変異で見られたDaf-cの増強は二重変異株へのmfb-1c DNAの導入により、完全にレスキューされた。さらに、MFB-1におけるF-boxドメインを欠失させたmfb-1 cDNAについてレスキュー能を調べたところ、このcDNAはDAF-7経路の変異体との二重変異で見られるDaf-cの増強をレスキューできなかった。これはMFB-1のF-boxドメインが、機能上必須であることを示唆している。F-boxドメインはF-boxタンパク質がSCF複合体を形成する上で重要な領域と考えられており、MFB-1もユビキチンリガーゼとして機能していると考えられる。これらの結果からMFB-1は、遺伝学的にDAF-7経路のシグナルを正に制御し、線虫のdauer形成を抑制していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)