2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミッドカインを分子標的とした悪性腫瘍と炎症性疾患の治療法開発
Project/Area Number |
15390103
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
村松 喬 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (00030891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門松 健治 独立行政法人名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80204519)
村松 壽子 独立行政法人名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50182134)
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Keywords | ミッドカイン / 抗がん剤 / 腎臓毒性 / ノックアウトマウス / 好中球 / 血管内皮 / がん転移 / アンチセンスオリゴDNA |
Research Abstract |
化学療法剤シスプラチンの腎臓毒性発揮に炎症性細胞の移動が重要な役を果たすこと、そしてミッドカインがこの過程に関与することが前年度の研究で明らかになった。そこで、ミッドカインの発現を抑えることにより、炎症性細胞の移動をを軽減することを計画した。ミッドカインアンチセンスオリゴDNAを尾静脈から注入すると、オリゴDNAは選択的に尿細管に取り込まれた。そして、ミッドカインの尿細管における発現を低下させた。シスプラチン投与の24時間前にアンチセンスオリゴDNAを投与すると、尿細管への好中球の浸潤が50%程度低下した。センスオリゴDNAにはこの効果はなかった。抗がん剤投与の前処置としてのミッドカインアンチセンスオリゴDNA投与の有効性が示唆されたのである。 ミッドカインアンチセンスオリゴDNAはがん細胞の浸潤を低下させることを明らかにしてきたが、これががん細胞のミッドカインのみを標的とするかどうかを検討した。このために、ミッドカインを発現しないルウィス肺がん細胞をマウスの大腿に接種し、肺転移を評価した。すると、野生型マウスに接種した時に比べ、ミッドカイン遺伝子ノックアウトマウスに接種した場合は肺転移が大きく抑えられていた。宿主の血管内皮が生産するミッドカインが転移を促進したと考えられる。実際、ミッドカインは培養下のルウィス肺がん細胞の移動を大きく促進し、その増殖も弱く促進したた。なお、大腿部での腫瘍の増殖に有意な差はなかった。ヒトミッドカインアンチセンスオリゴDNAの抗腫瘍効果をヌードマウスに移植したヒトがんで判定すると、宿主のミッドカインは抑えられないので、腫瘍が小さく血管のミッドカインの寄与が大きい時の結果の解釈には注意を要する。
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Research Products
(6 results)