2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる神経因性疼痛に関与するタンパク質複合体の機能的解析
Project/Area Number |
15390109
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 幹雄 関西医科大学, 医学部, 講師 (40192687)
絹見 朋也 産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 研究員 (90293125)
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Keywords | プロテオミクス / 坐骨神経 / 後根神経節 / 二次元電気泳動 / 構造蛋白 / TOF-MS / 極性 / 炎症性疼痛 |
Research Abstract |
体性感覚の一次求心性線維は、皮下で自由神経終末となり末梢での刺激に反応する一方、脊髄後角で神経細胞とシナプスを形成して、末梢からの情報を中枢に伝達する。その細胞体は後根神経節に局在するpseudobipolar細胞である。本研究では、後根神経節細胞で産生された蛋白が一次求心性線維の末梢端と中枢端に輸送される分別機構(極性)をプロテオミクス手法を用いて解析し、機能性分子の同定を行うことを目的とした。ラット坐骨神経の後根神経節より中枢側と末梢側をサンプルとし高解像度のラージサイズ(20×70cm)のゲルを用いた2次元電気泳動法により分離後、スポットを銀染色にて検出し発現を比較検討した。このサイズでの展開によっておよそ1万個のスポットの検出が可能である。本研究では、pI 5-6の範囲に焦点をあて、検出された約1000個の蛋白スポット中で坐骨神経の末梢側と中枢側間でおよそ3倍以上の差で発現している分子をユニークスポットとしてMALDI-TOF-MSを用いて同定した。末梢側からはcollagen α、CRMP-2のアイソフォーム、そして中枢側からは複数のtubulinサブタイプなどの構造蛋白が同定された。CRMP-2のアイソフォームは脊髄、延髄や大脳で全く発現しておらず、坐骨神経の末梢側に特異的と考えられた。さらに、炎症性疼痛モデルを作製してその変化を検討したところ、疼痛に伴ってこの末梢側に特異的なCRMP-2アイソフォームが経時的に変化した。CRMP-2はキネシンと物質輸送に関与することが知られていることから、疼痛の発症における今回同定したアイソフォームが物質輸送に関与することが示唆され、今後この分子の疼痛における役割について検討する予定である。
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Research Products
(8 results)