2003 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌で発現する着床関連接着分子,トロフィニンの機能解析
Project/Area Number |
15390115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中山 淳 信州大学, 医学部, 教授 (10221459)
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Keywords | 細胞接着分子 / 着床 / 大腸癌 / ホルモン / 転位 |
Research Abstract |
本研究の目的は大腸癌の浸潤や転移における細胞接着分子,トロフィニンの役割を明らかにすることである.本年度はまず最初にトロフィニンの発現を促進する分子としてhCGを見出した(Nakayama et al.,Am J Pathol 163,2211-2219,2003).次に,大腸癌細胞におけるトロフィニンとその関連分子であるビスチンの発現パターンを解析するため,大腸癌(44症例)のホルマリン固定パラフィン切片に対してトロフィニンに対する特異抗体#3-llと,ビスチンに対する特異抗体#19を用いて免疫染色を行い,それぞれ大腸癌症例の61,4%,53.3%,特にいずれも大腸癌細胞の浸潤部で強く発現していることを示した.いずれの分子も大腸癌の浸潤部において発現が強い傾向は,トロフィニンとビスチンに対する特異的RNAプローブを用いた々in situ hybridizationによっても証明された.次に,トロフィニンやビスチンの発現と種々の臨床病理学的因子との相関を解析した結果,いずれの分子も陽性例は陰性例に比べて有意に癌細胞の進達度が深く,また肝転移も高い傾向にあった.さらにビスチン陽性例は陰性例に比較し,有意にリンパ管浸潤が強い傾向があった.hCGはトロフィニンの発現を促進することから,hCGの発現パターンを免疫染色にて解析した結果,hCGは59%の大腸癌症例において検出され,またhCQとトロフィニンの発現パターンは有意に相関していた.以上の結果より,大腸癌細胞で発現しているトロフィニンやビスチンは癌の局所浸潤や肝転移と密接に関連しており,またトロフイニンの発現には大腸癌細胞から分泌されたhCGが重要な役割を担っているものと考えられる.
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Research Products
(1 results)