2005 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌で発現する着床関連接着分子,トロフィニンの機能解析
Project/Area Number |
15390115
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中山 淳 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10221459)
|
Keywords | 細胞接着分子 / 着床 / 大腸 / 浸潤能 / cDNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究の目的は大腸癌の浸潤や転移において,着床に関連する細胞接着分子であるトロフィニンの役割を明らかにすることである.昨年度の研究成果により,大腸癌で発現するトロフィニンは癌細胞の浸潤(運動)能を亢進させることを明らかにした.本年度はその分子機序を明らかにする為,大腸癌SW480細胞にトロフィニンcDNAあるいは対照としてのpcDNAIベクターを一過性に遺伝子導入し,その結果生じる遺伝子の発現パターンをcDNAマイクロアレイにより網羅的に解析した.トロフィニンcDNAの導入により発現量が最も亢進した分子としてhigh-mobility group box 1(HMGB1)遺伝子を同定した.HMGB1蛋白はreceptor for advanced glycation end products(RAGE)と結合することで大腸癌の浸潤と密接に関連していることが知られている(Kuniyasu et al.,Int J Cancer 10,722-777,2003).そこで,昨年度に樹立したトロフィンを恒常的に発現するSW480-Tro細胞におけるRAGEの発現レベルを解析すると,SW480-Mock細胞に比べて約2倍に上昇していることが確認された.更に,一昨年度に解析した大腸癌(28症例)のホルマリン固定パラフィン切片に対してトロフィニンとRAGEの発現を免疫組織化学的に解析したところ,トロフィニンを発現していた17症例全例でRAGEも発現していた.また,トロフィニンを発現していない11例中3例ではRAGEも発現していなかったことから,トロフィニンとRAGEの発現は相関傾向にあった.以上の結果より,大腸癌細胞で発現するトロフィニンはアンフォテリン-RAGEシステムを介して癌細胞の浸潤能を亢進させることが示唆された.
|
Research Products
(4 results)