2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞がんの悪性化ならびに転移の分子機構の解析と、診断・治療への応用
Project/Area Number |
15390118
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂元 亨宇 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40221270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 明典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276218)
杜 ぶん林 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90348798)
柴田 理恵 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00365230)
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Keywords | 肝内転移 / 遺伝子発現解析 / 転移モデル / 細胞運動性 / Cortactin / HMGI |
Research Abstract |
肝細胞癌の肝内転移機構の解明のため、1)肝内転移モデルにて異なる転移性を示す肝細胞癌株、2)外科的に切除された進行肝細胞癌30症例(vp+/im+ 20例,vp-/im- 10例)を用いて、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、検討した。 1)既に樹立された肝細胞癌同所性移植肝内転移モデルにて高転移性の2株、低転移性の3株、計5つの肝細胞癌株を用いて、遺伝子発現解析(12600gene)を行い、肝内転移性と相関する遺伝子を同定した。高転移株で有意に高発現している遺伝子群として、cortactin、Arp2/3、Pim-1、Nup88など20遺伝子を同定した。肝細胞癌の高転移株にsiRNAを用いてcortactinの発現を抑制させたところ、細胞運動能が著明に低下し(運動面積/細胞面積;9.35±0.98 vs 4.76±0.57 P<0.005)、低転移株に過剰発現させたところ、細胞運動能の有意な亢進を認め(運動面積/細胞面積;1.31±0.08 vs 3.66±0.40 P<0.005)、更にin vivoでは転移能の有意な亢進を認めた。進行肝細胞癌152症例(vp+/im+ 66例,vp-/im- 86例)の免疫組織染色では、cortactinの発現亢進と肝内転移が有意に相関していた(P<0.005)。細胞骨格分子であるcortactinはSrcの基質であり、乳癌、頭頚部癌では、予後との相関が報告されてされているが、機能についてはいまだ不明な点が多いが、今回の検討で始めて、肝癌における過剰発現と運動性亢進さらには転移性との関連が示された。 2)肝内転移症例で有意に高発現している遺伝子群(20gene)を同定した。これらのうち肝内転移に特異的な遺伝子としてHMGI(P<0.001)を同定し、進行肝細胞癌124症例の免疫組織染色では、HMGIの発現亢進と肝内転移、早期再発(6ヶ月以内)が有意に相関していた(P<0.001)。HMGIの発現亢進は肝内転移に関与しており、肝細胞癌の重要な予後因子であると考えられた。
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Research Products
(3 results)