2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨・軟部腫瘍の細胞遺伝学的・分子病理学的特性とMMPの発現に関する研究
Project/Area Number |
15390119
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩崎 宏 福岡大学, 医学部, 教授 (90101170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋島 一樹 福岡大学, 医学部, 助教授 (40189189)
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 肉腫 / 染色体 / 遺伝子異常 / 細胞外マトリックス / MMP / CGH / molecular cytogenetics |
Research Abstract |
1.血管新生は腫瘍増殖において中心的役割を果たしており、hypoxia-inducible factor-1α(HIF-1α)はその血管新生において重要な役割を担う発現調節因子である。HIF-1αの線維組織球性腫瘍における役割については未だに不明であった。我々は、dermatofibroma (DF)26例、dermatofibrosarcoma protuberans (DFSP)13例、malignant fibrous histiocytoma (MFH)23例について、血管新生とHIF-1α発現レベルの相関について検討した。血管新生の程度は、DFおよびDFSPに較べて、MFHで有意に高く、HIF-1α発現レベルも同様であった。さらに、MFHにおいても、HIF-1α高発現群では、低発現群に較べて血管新生の程度も有意に高くなっていた。HIF-1α発現と血管新生の程度は、線維組織球性腫瘍の悪性化の過程と密接な相関を示すものと考えられる。 2.類上皮肉腫細胞株のmolecular cytogenetic characterization:類上皮肉腫は高率に転移を示す悪性腫瘍であるにもかかわらず、その細胞株は少なく、molecular cytogenetic levelでの研究は不足している。我々は、21歳男性のリンパ節転移巣から細胞株の樹立に成功し、そのmolecular cytogenetic levelでの特徴を明らかにした。G-banding, SKY解析により、腫瘍はhyperdiploid karyotypeを示し、+i(5)(p10),-8,+13, der(13)t(8;13)(q?;p11),+der(19)t(9;19)(?;?) and del(22)(q13)の染色体異常を伴っていた。また、CGH解析にて、5p,9q,19q,22qでのgainと、8pでのlossを認めた。類上皮肉腫の生物学的および分子病理学的解析を進める上で重要なtoolになるものと考えている。 3.Matrix metalloproteinases (MMP)は腫瘍の浸潤・転移に重要な役割を果たすが、末梢神経鞘腫瘍(PNST)においては十分な研究はなされていない。我々は、PNST40例におけるMMP, MMPインヒビター、MMP発現促進因子であるemmprinの発現を検討した。悪性PNST(MPNST)では、良性PNST(神経鞘腫、神経線維腫)に較べて有意に高いemmprin, MT1-MMPの発現を示し、その浸潤性との相関が考えられた。また、MMP-9高発現は神経鞘腫に認められるが、神経線維腫,MPNSTでは見られず、一方、MMP-1高発現は神経線維腫, MPNSTに認められるが、神経鞘腫には認められず、その両者の起源の違いに関連している可能性が推定された。
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Research Products
(10 results)