2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト多段階発がんにおけるDNAメチルトランスフェラーゼの異常
Project/Area Number |
15390120
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
金井 弥栄 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 病理部, 部長 (00260315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 亜希子 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 病理部, 研究員 (90342906)
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Keywords | DNAメチル化 / DNAメチルトランスフェラーゼ / DNMT1 / 前がん状態 / 慢性膵炎 / Pan IN / 浸潤性膵管がん / 腎細胞がん |
Research Abstract |
諸臓器の多段階発がん過程において、DNAメチルトランスフェラーゼの異常を伴うDNAメチル化の変化の意義の理解を進めた。 炎症性背景を伴う末梢膵管上皮において、正常末梢膵管上皮に比しDNMT1の蛋白発現は既に亢進し、前がん病変Pan INの異型度が亢進するとともに、また膵管がんが低分化になるとともに、DNMT1発現は更に段階的に亢進した。p14・p15・p16・p73・APC・hMLH1・MGMT・BRCA1・GSTP1・TIMP-3・CDH1・DAPK-1遺伝子のDNAメチル化は、炎症性背景を伴う末梢膵管上皮において既に蓄積し、Pan INから膵管がんへと更に段階的に蓄積していた。DNMT1発現レベルは、膵管がんの浸潤性・病期・DNAメチル化の蓄積・予後と相関した。 メチル化を受けるCpGアイランド数は、腎腫瘍症例より得られた組織学的に特記すべき所見を示さない非腫瘍部腎組織(N)において、非腎腫瘍症例より得られた正常腎組織(C)に比して既に増加し、腎腫瘍において更に増加した。背景腎NにおけるDNAメチル化の蓄積は、その症例に生じた腎細胞がんの異型度と有意に相関していた。DNAメチル化の観点からNは既に前がん状態にあると認識でき、DNAメチル化の蓄積を伴う前がん状態からより悪性度の高いがんを生じる可能性があると考えられた。腎細胞がんにおけるDNAメチル化の蓄積は、腫瘍の異型度・静脈侵襲・予後と相関した。DNMT1発現はNにおいてCに比して既に亢進する傾向にあり、異型度G1の腎細胞がんで有意な亢進となり、紡錘細胞がんへの進展と共に更に亢進した。 DNMT1蛋白発現亢進を伴うDNAメチル化の変化は、前がん段階からがんの悪性進展に到るまで、多数のがん関連遺伝子の不活化等を介して、諸臓器の多段階発がん過程に継続して寄与する可能性があると考えられた。
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Research Products
(7 results)